2011年に経営破綻した「安愚楽牧場」の和牛商法をめぐり、国の規制怠りで被害が拡大したとして、近畿地方の出資者142人が国に約4億3千万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。地裁は、国が業務停止命令などを怠ったのは違法と認め、計約3億8千万円の賠償を命じた。
和牛オーナー制度の実態
安愚楽牧場の「和牛オーナー制度」では、出資者に繁殖牛を割り当て、生まれた子牛を食肉加工するなどした利益を配分していた。しかし出資者数に対して牛が不足し、架空の牛を割り当てるなどした末に破綻。出資者は全国で約7万3千人、被害金額は約4200億円に及ぶとされる。
農水省の検査と判断
判決によると、農林水産省は2009年1月に安愚楽牧場の本社などに立ち入り検査を実施。直営牧場の調査も進め、牧場側のデータと実際の飼育頭数が9千頭以上違うことを確認した。しかし牧場側の「直営牧場から委託牧場に移した」との釈明に対し、裏付け資料の提出などを求めなかった。
判決は、追加説明や資料を求めていれば相当数の繁殖牛が存在しないと把握できたと指摘。その後も牧場側が実態と異なる説明を続けるおそれがあったことから、遅くとも09年3月末には預託法に基づく業務停止命令などの規制権限を行使すべきだったと判断した。
賠償命令と弁護団の声
その後も権限を行使しなかったことは「著しく合理性を欠く」として、それ以降に牧場側に入金された出資額について国に賠償を命じた。この訴訟は2014年に提訴され、地裁判決まで12年間を要した。判決後、弁護団の一人は「夢を見ているようだ。勝たせてくれてよかった」と話した。
判決を受けて農水省は「判決内容を精査した上で、関係省庁とも協議して適切に対応する」とのコメントを出した。



