コンビニは10年前の教訓で迅速再開、中小企業は支援も再建遠く
コンビニは10年前の教訓で迅速再開、中小は再建遠く

熊本地震の発生から1か月が経過した。被災地ではコンビニエンスストアが10年前の教訓を生かし、迅速に営業を再開して物流を支える一方、中小企業では国の支援策があるものの再建の見通しが立たないケースも目立つ。

コンビニは教訓生かし迅速に再開

熊本県八代市中心部のコンビニ「ローソン八代袋町店」では26日、車で訪れて飲み物などを購入する客が次々と出入りしていた。同店は震度6強の地震の5日後から通常営業を再開。近くに住む女性(73)は「普段の買い物で使うスーパーは閉まっていたので、早く開いてくれて助かった」と話した。

ローソンは7月28日の地震で県内167店のうち約3割の55店で営業を休止したが、6日後の8月3日までにほぼ全店で営業を再開した。震源が熊本市に近かった2016年の地震では営業休止した店舗の割合が半数超に上り、県内の物流拠点が被災して商品供給が滞り、1週間たっても再開できない店舗もあった。

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この経験を基に、ローソンは今回の地震直後に福岡県内に仮設の物流拠点を設けた。道路被害も相次ぐ中、各店舗に商品を届けるためのルートは、国による「指定公共機関」の仕組みを活用した。前回地震後の17年にローソンなどコンビニ大手3社が指定公共機関になり、配送トラックは「緊急車両」として、通行が規制されている道路も通れるようになった。ローソンの竹増貞信社長(57)は「10年前はどこからどう配送すればよいかわからなかった。教訓が生きて迅速に動けた」と語る。

中小企業は再建遠く

再建が遠い中小の事業者は多い。納豆や豆腐の製造を手がけるマルキン食品(熊本市)は、震度7を観測した熊本県宇城市などにある県内3工場で数十センチの段差や陥没、設備の傾きといった被害が判明した。前回の地震で生産設備が倒れ、再開に最大約2か月を要した。この経験を踏まえ、設備を地面に固定する対策を施して被害を軽減し、今回は2週間で一部の出荷を再開できたが、生産品目は地震前の約3割にとどまる。吉良扶佐子社長(60)は「フル生産に戻すには工場の建て替えなども検討しなければならず、容易ではない」と頭を悩ませる。

八代市中心部にある本町商店街では、1か月が経過した現在も建物が壊れたままの店舗が目立ち、シャッターには「休業中」の貼り紙もある。小料理店を経営する石本正行さん(80)は17日に営業を再開したものの、当日の来客は一人もなかった。「商店街にはほとんど人が歩いていない。厳しい期間が続くかもしれない」と覚悟する。

国の支援策と地域経済の課題

熊本県によると、今回の地震による商工業関連の被害額は28日時点で1559億円に上り、うち8割以上を中小企業が占める。国は事業者向け支援策として、施設や設備の復旧費の4分の3を補助することを決めた。上限は3億円で、前回の熊本地震や20年の豪雨災害でも被害が生じた「多重被災事業者」は15億円まで拡大する。支援の対象には中小企業に加え、資本金10億円未満の「中堅企業」も含めた。被災した商店街にも、イベント開催などの事業費を支援する。

しかし、この支援策だけでは心もとない企業も出てくる可能性がある。煙突が倒壊し、操業を停止した日本製紙八代工場(八代市)と取引のあった地元企業は300社以上に上る。資本金1000億円超の日本製紙は国の支援策の対象ではない。同社は工場を再開するかどうかを明らかにしていない。

八代市の小野泰輔市長(52)は「日本製紙がこの街に残るかどうかが、中小企業の命運を左右する」と危機感を示し、国に日本製紙への支援を求めていく考えだ。事業者の再建をどう後押しし、地域経済を立て直すか。国や自治体の対応が問われる。

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