旭川地裁法廷乱入事件、警備職員の対応に問題 調査結果発表
旭川地裁法廷乱入、警備職員の対応問題と判明

旭川地方裁判所で6月22日に発生した殺人事件の裁判員裁判公判中の法廷乱入事件について、同地裁は7月15日、警備に当たっていた職員の対応に問題があったとする調査結果を公表した。調査では、法廷周辺の廊下で警備にあたっていた職員らが、不審者の侵入を防ぐための対応を徹底できていなかったことが明らかになった。

事件の概要と被害

事件は6月22日午後3時過ぎ、留萌市の女子高校生(当時17歳)殺害事件で殺人罪などに問われた旭川市の無職、内田梨瑚受刑者(23)に対し、懲役27年の判決(確定)が言い渡された公判中に発生。男(48)が法廷に乱入し、「死刑やろうが」などと叫びながら、職員らに取り押さえられた。この混乱で、裁判員と補充裁判員計9人のうち1人が転倒し、軽い打撲傷を負った。男は建造物侵入容疑で逮捕・起訴されている。

調査結果:警備の実態と問題点

地裁の調査によると、この公判では抽選で傍聴券を得た人に対し、法廷出入り口から約20メートル手前の廊下で、金属探知機による所持品検査を実施していた。この区域は「立ち入り限定区域」とされ、複数の職員が警備に当たっていた。しかし、男は傍聴券を持っていなかったにもかかわらず、金属探知機の横をすり抜け、気づいて声をかけた職員に対し「傍聴席にいる親族に家族が危篤だと伝えたい」と説明。職員とともに出入り口のドアの小窓から法廷内を確認している最中に、突然ドアを開け、制止を振り切って法廷に侵入した。当時、法廷内に男の親族が実際にいたかどうかは確認できていない。

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地裁は、男が立ち入り限定区域に入る前に職員が声をかけることができなかった点を問題視。「裁判員と事件関係者、傍聴人等に多大な不安を与える事態を生じさせ、けが人が発生したことは誠に遺憾で重く受け止めている。今回の事案を教訓に、再発防止に努めたい」とコメントした。

過去の類似事件と安全対策の課題

法廷内での事件は過去にも発生している。2005年9月には札幌高裁で、民事訴訟の当事者の男が法廷で包丁を取り出し、取り押さえようとした警察官が負傷する事件が発生。2017年6月には仙台地裁で、刑事裁判の法廷に保釈中の被告の男が刃物を持ち込み、傍聴席の警察官2人を切りつける事件が起きている。こうした事態を受け、札幌地裁・高裁が入る札幌市中央区の庁舎では2013年3月に1階に金属探知機を設置し、入庁者の所持品検査を実施。最高裁によると、全国で金属探知機を常設する庁舎は21か所に上り、裁判所の判断で随時、傍聴人の所持品検査を行うところもある。

「開かれた法廷」との両立が課題

安全対策は「開かれた法廷」の原則との両立が前提となる。福島大学の高橋有紀准教授(刑事法)は「傍聴に対して必要以上にハードルを上げることは望ましくないが、注目事件ではあらゆるトラブルを念頭に対応することが求められる」と指摘している。

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