匿名・流動型犯罪グループ(匿流)によるとみられる犯罪が、茨城県内で相次いでいる。同じ民家が繰り返し被害に遭う凶悪事件も発生しており、実態のつかみにくい匿流について、県警は着実に逮捕を重ね、広範囲を移動しながら犯行を重ねたり、若者を使い捨てにしたりする姿が浮かび上がってきた。
「案件屋」が計画、広範囲で犯行
筑西市の男性宅は昨年11月、同じ日に強盗と窃盗の被害に遭った。深夜に押し入った男らは鉄パイプなどで男性を殴って逃走。半日後には、留守中に別の男らが敷地内の事務所に侵入し、金庫など約4万円相当を盗み去った。
県警は、強盗事件で実行役、指示役の男5人を逮捕。グループは直前に栃木県小山市で強盗致傷事件を起こし、筑西市に移動してきたという。窃盗事件では、実行役、指示役と最上位役の男6人が逮捕された。県警は、最上位役が事件の計画を練った「案件屋」で、複数の実行役に犯行を指示したとみている。
個人情報を基に標的を選定
匿流はどのように標的を探すのか。県警幹部は、業者を装った点検商法を一例にあげる。水道や屋根の点検を口実に家に上がり、金品の保管場所を確認するといい、他人を家に上げないことが予防策となる。高額商品購入者や企業役員の名簿などが流出し、匿流に渡っている可能性もある。また「飲食店でのたわいない自慢話が人づてに広まっている可能性もある」とし、案件屋は入手した個人情報を基に、リクルーターに人を集めさせて実行しているとみられる。
鹿嶋市の法人役員男性宅は昨秋以降、4回の侵入被害を受けた。いずれも別グループとみられ、県警は資産情報が出回り、狙いが集中したとみている。この民家の事件で逮捕された男は、5月に栃木県上三川町で発生した強盗殺人事件の8日前に付近を下見したとして栃木県警に逮捕された。実行役らは複数の案件を引き受け、各地で犯行を繰り返しているという。
若者を「使い捨て」に
匿流の犯罪は強盗や窃盗、特殊詐欺、違法風俗業など多岐にわたり、グループ内の関係性も多様だ。特殊詐欺のかけ子は、相手をだます巧妙さが必要で、台本で練習させられるという。昨年8月には、つくば市の20歳代女性がカンボジアに誘拐され、かけ子の練習をさせられていたことが判明した。
一方、強盗は上位役にとって簡単な指示で済む。実行役が捕まる確率は高いが、上位役は階層を複雑化させて捜査をかく乱させ、実行役を「使い捨て」として利用しているという。警察庁によると、昨年1年間に全国で匿流とみられる強盗や詐欺などの「資金獲得犯罪」で摘発されたのは6679人。うち20歳代が42.1%、10歳代が15.7%で6割近くを占めた。上三川町の強盗殺人事件でも男子高校生が逮捕された。県警幹部は「善悪を判断する能力が未熟な少年らを実行役とするのは、まさに使い捨ての典型例だ」と指摘する。



