初盆までに母の遺品整理を完了させると期限を定め、取り組んでいた。なんでも大切にし、捨てることのできない母のことだ。紙切れ一枚にさえ時間が凝縮されているので、おいそれと処分できない。一つ一つ確認しながらの片づけは、思いの外時間がかかる。
ぽち袋の山から見つけた写真
さまざまな出土品の中、鏡台やタンスの引き出しなど、あちこちからぽち袋が出てきた。孫は3人。いくらなんでもぽち袋の数が多すぎる。きっと、来るか来ないか分からぬ孫に会うのを楽しみに、毎年お年玉を用意し、翌年は前年のぽち袋では失礼と、また新たに買い続けていたのだろう。
昭和の夫婦の姿
期限目前に、ぽち袋に混ざって一葉の写真を発見。「なんだ、仲が良いじゃないか」。それは安堵の声だ。昭和の夫婦の両親は、母が常に辛抱し、我慢して父に付き従い、仲が良いという感じではなかった。私はかねて位牌は隣どうし、お墓は同じままで良いのかと心配していた。
たった一葉だけ残る2人の写真は、咲き誇る蓮の花をバックに、楽しそうに笑顔で並んでいる。どうやら極楽でも仲良くしているようだ。
石井忠(66) 栃木県壬生町



