破産者も生む米医療費、救急外来1回19万円「幸せを制限」
破産者も生む米医療費、救急外来1回19万円「幸せを制限」

アメリカでは長年、医療費が人々の主な破産理由の一つとされてきた。治療や薬にかかる費用が高く、日本のような誰もが入れる公的な保険制度もない。医療保険に加入して毎月保険料を納めても、通院のたびに高額な請求書を受け取り、苦しむ人もいる。

NY中心部での聞き取り、高額経験を語る

全米各地から人が集まるニューヨーク市中心部のタイムズスクエア周辺で10月、行き交う人に医療費について聞いたところ、口々に「高い」と答え、高額を支払った経験を語った。

西部ワシントン州シアトルの看護師の女性(41)は、17歳の娘が尿路感染症になり救急外来で診察を受けた際、1200ドル(約19万円)を支払ったという。「医療費は恐ろしいほど高額で、人々の幸せを制限している」と話した。

東部マサチューセッツ州の60代の会社員男性は、妻が数カ月前に副甲状腺を切除する手術を受けた。費用は手術代だけで5万ドル(約800万円)。医療保険で多くがカバーされたが、それでも6千ドル(約95万円)超を自己負担した。手術のための検査費用などは別途かかったという。

GDP比17.2%と突出、自己負担も重く

経済協力開発機構(OECD)の推計によると、2024年の国内総生産(GDP)に対する医療費の割合は、加盟国平均が9.3%なのに対し、アメリカは17.2%と飛び抜けて高かった。

医療政策調査機関KFFは、アメリカでは主に医療保険への加入は任意で、政府による薬価や医療サービスの費用への直接の規制などが少ないため、同じ薬や治療でも他の先進国より高額になることが多いと指摘する。24年の自己負担額は1人あたり年間1632ドル(約26万円)で、22年の調査では、成人の4割が歯科を含む医療費で負債を抱えていた。

保険料も住宅ローン超え、制度への不満

医療保険は悩みの種だ。保険料も住宅ローンを超える水準に達している。歴代の政権もこの問題と向き合ってきたが、いまなお高額で、日本のような制度が「うらやましい」という人もいる。