猛暑が厳しさを増す中、国や都道府県発注の建設工事で真夏の現場作業を休む「夏季休工」が広がり始めている。建設業界からは「労働環境の改善につながる」との声が上がるが、普及には課題もある。
現場からは「命の危険」の声
道路の舗装・補修などを手がける建設会社「福田道路」(新潟市)の北川保裕・東京本店工事所長(60)は「施工直後のアスファルトは150度を超える熱さで、真夏の現場は蒸し風呂状態だ。20分に1回は休まないと命の危険がある」と話す。
同社は今年、国土交通省関東地方整備局・宇都宮国道事務所が発注した栃木県小山市などの道路補修工事を受注した。工期は今年4~12月だが、同事務所と協議し、近年の猛暑を踏まえて7~8月を完全に休工とした。北川所長は「休工中は涼しい中でデスクワークに集中でき、書類の作成も効率的にできる」と話す。
業界からの改善要求
休工の導入が進む背景には、担い手不足に悩む建設業界からの労働環境の改善を求める声がある。
型枠や塗装などの業者でつくる建設産業専門団体連合会は5月、全国知事会、全国市町村長会などに対し、猛暑下での建設現場の安全確保に向けた休工の導入を提言した。「過酷な労働環境を改善しないと担い手を確保できない。労働生産性の低下を招くことを認識してほしい」と訴える。
課題と今後の展望
運用上の課題は少なくない。建設現場では日給制の作業員もおり、休工中の所得補償や働き口の確保が必要となる。物価高による建設資材の高騰が続く中、休工で工期が延びれば、事務所、資材置き場などの維持管理費や重機のリース代などがかさみ、工費の増加につながる。
芝浦工業大の蟹沢宏剛教授(建築生産システム)は「猛暑が常態化する中、休工の早期導入は必要不可欠だが、工賃やコストの面で課題もある。月給制や固定給への切り替え、早朝施工など作業時間の柔軟化、最新技術の導入や施工の工夫などによる生産性向上も進める必要がある」と指摘する。



