服を着たまま受けられる乳がんMRI検査、フィリップスが提案 痛みや恥ずかしさ軽減
服を着たままの乳がんMRI検査をフィリップスが提案、痛みや羞恥心を軽減

日本人女性の8人に1人が罹患するとされる乳がん。早期発見が鍵となる一方、検診の「痛み」や「服を脱ぐ恥ずかしさ」が受診率低迷の一因となっている。フィリップス・ジャパンは10月1日、これらの負担を軽減する「服を着たまま受けられるMRI検査」を提案するラウンドテーブルを開催。女性のリアルな不安に寄り添い、自分に合った検診方法を知ってもらうことで、受診へのハードルを下げる新たな選択肢を提示した。

乳がん検診受診率は約50%、早期発見を阻む根強い「不安」

東京都世田谷区の「高原クリニック イノベーティブスキャン」で開催された本イベントには、同院の高原太郎院長と、フィリップス・ジャパンの安部美佐子代表取締役社長、同社プレシジョンダイアグノシス事業部長・奥秋知幸氏が登壇。乳がん検診を取り巻く現状と、心理的・肉体的な負担を軽減する新たな検査の有用性について解説が行われた。

冒頭、高原院長は日本人女性の「8人に1人」が乳がんに罹患する(※1)という現状について言及。「『自分と友人3人、その母親4人』という8人の女性をイメージすると、その中の誰か1人が乳がんに罹患する計算になる」と具体的な例を挙げ、乳がんが決して他人事ではなく、極めて身近な疾患であることを強調した。さらに、乳がんは若い年代から増加し、働き盛りの世代にも大きく関わる病気であるため、何よりも早期発見・早期治療が重要になると訴えかけた。

しかし、こうした早期発見の重要性が叫ばれながらも、日本の乳がん検診受診率は50%前後(※2)にとどまっているのが実情だ。受診率が伸び悩む背景には、検診に対する根強い「不安」がある。現在主流となっているマンモグラフィ(乳房X線検査)は、病変を見つけるために乳房を2枚の板で強く圧迫するため、強い痛みを伴うことが多い。また、マンモグラフィや超音波(エコー)検査のいずれの手法においても、上半身の服を脱いで検査担当者に直接胸を見せる必要があり、その恥ずかしさや抵抗感から定期的な受診をためらってしまう女性が少なくない。

加えて、日本人の女性に多く見られる「高濃度乳房」の課題も挙げられた。乳腺が発達している高濃度乳房の場合、マンモグラフィの画像全体が白く写ってしまい、同じく白く写るしこり(病変)を見つけにくいという特有の難しさがあるという。

造影剤不要で約15分、うつ伏せになるだけの新検査

こうした従来の検査手法が持つハードルをクリアする新たな選択肢として、今回提示されたのがMRI装置を活用した乳がん検査だ。なかでも注目されているのが、高原院長が開発した「DWIBS(ドゥイブス)法」と呼ばれるMRI撮影技術を応用した検査だ。このDWIBS法を用いた乳がん検査の最大のメリットは、「造影剤を使わない」ことで従来の乳房MRIと比較しておよそ半分の約15分で撮像できること。そして「乳房を挟まず、服を着たまま検査ができる」ことだ。

ラウンドテーブルの後半では、実際のMRI室と会場を中継でつなぎ、メディア向けに検査環境や実際の流れが公開された。受診者は専用の検査着などを着たまま、ベッドの丸い窪みに乳房を収める形でうつ伏せに寝るだけでよい。胸を直接見られる恥ずかしさがなく、圧迫される痛みもない。約15分間、うつ伏せのまま安静にしているだけで検査が完了する手軽さが、視覚的にわかりやすく紹介された。

自分に合った検診方法を主体的に選ぶ重要性

高原院長は、マンモグラフィ、超音波、MRI(DWIBS法)それぞれの検査方法が持つ異なる特徴に言及。自身の乳房の状態や検査に対する不安を正しく把握し、自分に最も適した検診方法を主体的に選ぶことの重要性を説いた。

フィリップス・ジャパンが今回のラウンドテーブルを企画した背景には、乳がん検診の受診率向上という社会課題に対する強い危機感がある。検診に伴う「痛い」「恥ずかしい」という心理的・肉体的なハードルをテクノロジーの力で下げ、誰もが気軽に受けられる環境を整備することは、乳がんの早期発見に直結し、結果として多くの命を救うことにつながる。同社は本イベントを通じ、最新の医療機器を活用した「自分に合った検診」という選択肢を提示することで、より多くの女性が安心して健康管理と向き合える社会の実現に寄与していく構えだ。

(※1)出典:国立がん研究センター「最新がん統計」2023年 (※2)出典:厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」