熱中症予防には「手のひら冷却」が効果的、東洋大教授が解説
熱中症予防は「手のひら冷却」が効果的 東洋大教授

熱中症の応急処置といえば「首すじや脇の下を冷やす」のが定番だ。しかし、熱中症研究を続けてきた東洋大学教授の加藤和則さんは「それは間違いではないが、首を冷やすよりも効果的に深部体温を下げることができる方法が研究で明らかになっている」と話す。

手のひら冷却が科学的に優れている理由

太い血管が体表近くを通る場所を冷やせば、冷やされた血液が全身を巡って体温が下がるという考え方は、決して間違いではない。ただ、それ以上に科学的に優れた冷却法が「手のひら冷却」だ。

人間の手のひらは、体温調節に非常に重要な役割を担っている。そのメカニズムを理解しておくことで、いざというときに効果的な対応ができるようになる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

AVAが熱を逃がす仕組み

手のひらが体温調節に大きな役割を果たす理由は、「AVA(動静脈吻合)」と呼ばれる特殊な血管構造にある。動脈と静脈を直接つなぐバイパス血管のことで、通常は毛細血管を経由する血液が、AVAではその区間を飛ばしてショートカットされる。

毛細血管を通らないということは、酸素や栄養、老廃物の受け渡しには関与できず、AVAが運べるのは事実上「熱」だけ。つまり、体温を逃がすことに特化した血管だといえる。

AVAの分布と熱交換器としての機能

AVAは指先から指の腹、手のひら、母指球、小指球に分布している。血管自体は短く、内径が太く、筋肉の壁が分厚いのが特徴で、交感神経の枝が密に取り付き、開いたり閉じたりするシャッターのような構造をしている。

その密度は非常に高く、爪の下では1平方センチメートルあたり600個ほど、母指球や小指球のあたりでも100個ほど存在すると報告されている。多くの血管が張り巡らされた手のひらは、効率的な熱交換器として機能している。

AVAが開くと、熱を帯びた血液が大量に手のひらを通過し、皮膚の表面から熱を放散する。逆に寒いときには閉じて、熱を身体の中心に閉じ込める。この開閉は、脳の視床下部にある体温調節中枢からの指令によって、全身のAVAが一斉に行うと考えられている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ