心臓弁膜症は、心臓弁の不具合で血液が逆流するなどする病気で、進行すると心不全に陥る。治療の中心は人工弁への置き換え手術だが、弁の大きさが合わなかったり、赤ちゃんへの影響があったりするため、乳幼児や妊娠を希望する女性には適さない。
ホモグラフト治療とは
こうした患者でも、事故などで亡くなった人から提供された心臓弁を移植することは可能だ。「ホモグラフト治療」と呼ばれるが、国内では浸透しておらず、年間十数例程度の手術件数にとどまっている。
ホモグラフト治療を受けた50歳代の女性は、25歳で心臓の異常がわかり、懸命に調べて出産が可能なこの治療にたどりついたという。
臨床研究の開始と今後の期待
治療の機会を増やそうと、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は6月、心臓移植を受けた人から摘出した心臓から弁のみを取り出し、心臓弁膜症の患者に移植する臨床研究を始めた。心臓病だった患者から摘出した心臓でも、弁は正常に使えるケースが多いためだ。心臓移植は年100例を超えており、弁移植の拡充が期待される。
先に紹介した50歳代の女性は同センターでの記者会見で「治療後に出産した娘は今年で20歳。自分自身もテニスやゴルフを楽しんでいる」と話していた。亡くなった人からつながる命のリレーが広がっていくことが願われる。



