熱中症対策の水筒で内臓損傷リスク 小児科医が警告する正しい持ち方
熱中症対策の水筒で内臓損傷 小児科医が警告

学校に持たせる水筒が、子どもの内臓を損傷する重大事故を引き起こすケースが繰り返し報告されている。小児科専門医の森戸やすみ氏(プレジデントオンラインの記事で執筆)は、「水筒の持ち方が非常に重要。子どもが内臓を損傷しやすい理由や、腹部を強打した際の対処法についても知っておいてほしい」と警鐘を鳴らす。

繰り返される水筒事故の実態

ゴールデンウィーク以降、日差しが強まり汗ばむ季節となるにつれ、熱中症予防のための水分補給が欠かせなくなる。保護者にとって水筒は子どもに必ず持たせる必須アイテムだが、一歩間違えると命を脅かす事故につながる危険性がある。消費者庁や日本小児科学会は、首に下げたり斜めがけにした水筒が転倒時に腹部を強打し、重篤な内臓損傷を負った事例を複数報告している。

具体例として、7歳の子どもが登校中に校内の硬い土の上でつまずき、勢いがついて回転するように転倒。その際、首から提げていた水筒が地面とお腹の間に挟まって腹部を強打した。受傷後はぐったりして腹痛を訴え、嘔吐が続いたため医療機関を受診。内臓損傷が疑われ、大きな病院で膵臓と脾臓の一部を切除する大手術を受けるに至った。

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子どもの腹部が損傷しやすい理由

子どもは腹部の筋肉や脂肪が未発達で、内臓を保護する力が弱い。特に脾臓や膵臓は衝撃を受けやすく、転倒時に水筒のような硬い物体が腹部に当たると、臓器が損傷しやすい。また、水筒の容量が大きく重いほど、衝撃は増大する。

森戸氏は、水筒による事故には共通点があると指摘する。第一に、水筒を首から提げたり斜めがけにしていること。第二に、転倒時に水筒が体の前面に位置し、衝撃を吸収せずに腹部に伝わること。第三に、走ったり急いだりする状況で事故が発生しやすいことだ。

症状と受診の目安

腹部を強打した後、子どもがぐったりしている、腹痛を訴える、嘔吐が続くなどの症状が見られたら、早めに医療機関を受診すべきだ。内臓損傷は初期症状が軽く見えても、時間とともに悪化する可能性がある。特に膵臓や脾臓の損傷は、放置すると生命に関わる重篤な状態に至ることもある。

実際に、入院して保存的治療で改善した例や、小腸や膵臓を損傷し緊急手術が必要となった例、内臓損傷のために入院し絶食して保存療法が必要だった例などが報告されている。いずれも早期発見・早期治療が重要だ。

安全な水筒の持ち方と対策

森戸氏は、子どもに水筒を持たせる際は、体の前側に硬いものを持たせないことが原則だと強調する。具体的には、以下の対策を推奨している。

  • 水筒はランドセルやリュックサックの中に入れ、体の前面に硬い物が当たらないようにする。
  • どうしても手提げや斜めがけにする場合は、水筒のカバーをクッション性のある素材にする。
  • 水筒の容量は必要最低限にし、重くなりすぎないようにする。
  • 転倒時に水筒が腹部に当たらないよう、持ち手の長さを調節する。

また、学校や家庭で子どもに対し、水筒を安全に扱うよう指導することも大切だ。走りながら水筒を揺らさない、転びそうになったら水筒を体から離すなどの習慣を身につけさせる。

まとめ

熱中症対策は重要だが、そのための水筒が思わぬ事故を引き起こすことがある。保護者は子どもの安全を最優先に考え、水筒の持ち方や使用方法を見直す必要がある。森戸氏は「水筒による内臓損傷は、正しい知識と対策で防げる事故。ぜひ注意してほしい」と訴えている。

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