CiRA新所長・江藤氏「0から1の科学」再び、若手研究者の環境整備へ
CiRA新所長・江藤氏「0から1の科学」再び

日本における人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究拠点、京都大iPS細胞研究所(CiRA、サイラ)は、iPS細胞誕生20年の節目に3代目所長を迎えた。就任した江藤浩之教授は、iPS細胞から血小板を作る世界初の臨床研究を率い、基礎研究と実用化の両方を知る人物だ。

今年はパーキンソン病と重症心不全の2製品が条件・期限付き承認され、医療応用は新たな段階に入った。しかし江藤氏が次の20年に向けて掲げるのは、実用化の拡大だけではない。「0から1を生み出すサイエンス」をもう一度研究所の中心に据え、若い研究者が新たな発見を生む環境を整えるという。

3代目は「クッション」

iPS細胞誕生20年の節目に所長に就任した江藤氏は、自身の役割について「基本的な役割は変わりません。この20年でCiRAが何をしてきたか、今後何を目指すかを所内で話し合い、社会へ伝えることが所長の仕事です」と述べた。

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一方で、「率直に言えば、次の世代へ本格的にバトンタッチする前の『クッション』だと思っています。初代はiPS細胞を生み出した山中伸弥教授、2代目はiPS細胞によるパーキンソン病治療を条件・期限付き承認に導いた高橋淳教授です。2人のスーパーマンが続きました。次は若い世代が自分たちで研究所の方向を考え、決めなければなりません。その時間と土台を整えるのが、3代目の私の役割です」と語った。

今年の2製品承認をどう見るか

今年の2製品承認について、江藤氏は「基礎研究から見れば『ようやく』ですが、臨床開発を経験した立場から見ると、ものすごく早い」と評価した。

「論文を出すことと、治療として社会へ届けることは全く違います。規制当局との協議、製造、保険、企業との連携、事業として続く仕組みなど、多くの難所があります。製品化、事業化した後も、市場に受け入れられ、継続的に供給できる事業へ育つまでには大きな壁があります。これが『ダーウィンの海』で、越えなければなりません」と指摘。

高橋淳教授がパーキンソン病治療をここまで進めたことについては、「本当にすごいことです。病院、企業、研究者、規制当局との関係を築き、承認までやり遂げた。科学だけでなく、人間力がなければできません」と称賛した。

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