涼しげで華やか、男性向けレース衣類が人気 ジェンダーレスな夏の装い
涼しげで華やか、男性向けレース衣類が人気 ジェンダーレスな夏の装い

猛暑が続く中、涼しげな透かし模様のレース生地を使った男性向けの衣類が次々と登場している。女性のドレスや外出着のイメージが強かったレースだが、近年はジェンダーレスで楽しめる夏のファッション素材として支持されている。

ワコールメン、レース素材の新シリーズを販売

レースは、糸を編み上げるなどして透かし模様を作った織物のこと。ワコール(京都市)のメンズブランド「ワコールメン」は今夏、性別や世代を超えた服作りを行うブランド「ビューティフルピープル」とのコラボで、レース生地の繊細さや軽やかさを生かしたジャケット(4万9500円)やTシャツ(9900円から)、ボクサーパンツ(4950円)など5品目の新シリーズを販売している。

ワコールメンが初めてレースのボクサーパンツを発売したのは、5年前。消費者調査の結果、男性にも華やかな下着へのニーズがあるとわかり、開発のきっかけとなった。ウェブストアでは入荷後すぐに完売する人気で、累計出荷枚数は今年7月時点で20万枚を超えた。

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新シリーズは落ち着いた色調のカーキや水色系など4色で、すべて男女共用のデザイン。レースは繊細な生地のため、脱ぎ着する際に破れないよう強度の高い糸や縫製の技術で機能性を高めているという。

購入客の7割が男性、20~40歳代が中心

大丸心斎橋店(大阪市)などにあるワコールの店舗や両ブランドを取り扱うウェブストアなどで販売。ワコールメンでは購入客の7割が男性で、20~40歳代が中心だ。

「レースのシャツは新鮮で気分が上がる」「想像以上に軽い着心地で涼しい」といった感想が寄せられ、ブランドマネージャーの稲積美紀さんは「『レースは女性向け』という先入観のある男性もおり、透け過ぎず、カッコ良く着られるデザインにした」と説明する。

ジェンダーニュートラルの波、レースを夏の装いに

男性が化粧やパールなどのアクセサリーを楽しむ様子は、ここ数年で目立つように。性差にとらわれない「ジェンダーニュートラル」の波に乗り、レースも積極的におしゃれに取り入れられている。

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(千葉市)によると、今夏はレース素材を使ったメンズ向けのシャツやブラウスが販売され、ゆったりしたサイズやデザインが好まれている。程よい透け感で涼しく着られることや、Tシャツの上に羽織るなどして着回ししやすいことが好評という。

ワールド(神戸市)が展開するメンズブランド「ティーケー タケオキクチ」も、ペイズリー柄など3種類のデザインのレースシャツを扱う。約5年前にレースシャツを発売したところ評判が良く、デザインを増やしてきた。

価格は3000~6000円台。ルクア大阪店(大阪市)では20~40歳代の男性が「休日の街着に」と買い求めており、店長の岡崎喬太さん(36)は「メンズの夏物はTシャツや無地のシャツが多い。レースが装いの幅を広げる1枚として選ばれている」と話している。

歴史的な視点から見るレースと男性ファッション

レースは元来、女性だけが楽しむものではなかった。男性の身体とファッションについて研究する、大阪樟蔭女子大教授の川野佐江子さんによると、かつてヨーロッパでは性別を問わず王侯貴族がレースなどの装飾を用いた衣服を着用し、それが権威や権力の象徴になったという。

しかし、近代になって男女の性別役割分担に伴う服装規範が生まれ、男性は地味で機能的なスーツなどを着て肌を隠すものとされた。

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ここ数年、レース素材を用いた男性の衣類が人気を集めていることについて、川野さんは「男性がレースを好むことに意識の変化を感じる。肌が透ける華やかなレースを着ることで、男性も身体を美しく見せ、新しい自分を発見する楽しさを知るのではないか」と分析する。