性犯罪加害者の実態:有職者率8割、エリート層も多い
性犯罪の加害者には、真面目で几帳面なエリート層が少なくない。一般社団法人「もふもふネット」代表理事で大阪大学名誉教授の藤岡淳子氏(非行臨床心理学)は、性犯罪者の心理と更生について語る。法務省の特別調査(2015年)によれば、性犯罪者の有職者率は約8割と他の罪名と比べて高く、盗撮型や痴漢型では大学進学率も高い。自ら治療を求めてくる人には大企業の会社員、教師、公務員など、仕事や勉強を頑張る真面目なエリート層が多いという。
「同意があった」という弁明:法律と現実のギャップ
性加害者は取り調べや裁判で「性的同意があったと思い込んでいた」と弁明するケースが多い。不同意性交罪の場合、顔見知りとのセックスやナンパでついてきたから「同意があったと思った」と言う人が多い。藤岡氏は、2023年の刑法改正でできた不同意性交罪について、「世間一般、特に男性の『性』や『同意』に関する感覚は古いものを引きずっており、法律ができてもアップデートされていない」と指摘する。加害者教育プログラムでは「法律が変わりました。今の段階であなたが言う『同意』は通用しません」と伝えると、彼らも一定の納得を示すという。
エリート層が性犯罪に走る理由:ストレスと認知のゆがみ
社会的地位のあるエリート層が性犯罪に走る背景には、ストレスと「認知のゆがみ」がある。藤岡氏は、店長を任され仕事もできていた既婚男性が性犯罪者となりカウンセリングに来たケースを紹介する。彼は自分の行為が間違っていると理解しつつも、頑張って働いても報われず搾取されている気分があり、むしゃくしゃして狙った女の子に声をかけ、思い通りにセックスしたことが性犯罪になった。それが彼の気晴らしであり、リラックスを得られる手段だったという。性犯罪をする人の素顔は、真面目で几帳面で頑張る人が多いと藤岡氏は語る。
更生プログラムの内容と効果
更生プログラムでは、加害者の「ゆがんだ認知」を矯正し、抑圧や不安を和らげるアプローチを行う。年齢は少年から20~50代、まれに60代もいる。藤岡氏は、加害者に起きる変化や被害者との対話で生まれる効果についても語る。プログラムではまず法律の変更を伝え、同意の概念をアップデートする。加害者は自分の行動を振り返り、認知の歪みを認識することで再発防止につなげる。



