巨大与党を覆う「空気」の正体 10年前の防衛官僚の警句が今も刺さる
巨大与党を覆う「空気」の正体 10年前の防衛官僚の警句

防衛省担当になった約10年前のこと。幹部に防衛担当記者として読むべき本を聞くと、1冊の文庫本を手渡された。評論家・山本七平の代表作『空気』の研究』(文芸春秋)だった。

「空気」とは大きな絶対権をもった妖怪

「なぜ空気?」と首をかしげつつ、ページをめくった。太平洋戦争末期の1945年、戦艦大和の無謀な出撃が「空気」によって決まっていった過程が考察されていた。

「『空気』とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である」とあり、こう続く。「何しろ、専門家ぞろいの海軍の首脳に、『作戦として形をなさない』ことが『明白な事実』であることを、強行させ、後になると、その最高責任者が、なぜそれを行ったかを一言も説明できないような状態に落とし込んでしまうのだから」

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幹部の警句「スタンディングの空気にのまれているときは特にね」

後日、本を返しに行った際の幹部の言葉を今も鮮明に覚えている。幹部は「国防に携わる者は決して空気を作ってはいけないし、空気にのまれてもいけない」と述べ、一言付け加えた。「国会がスタンディングの空気にのまれているときは特にね」

当時は第2次安倍晋三政権まっただなか。国政選挙の連勝で長期政権の足場を固め、「安倍1強」と言われていた。幹部が言及した「スタンディング」は、そんな中で起きた。衆院本会議での所信表明演説で、壇上の安倍晋三首相が海保や自衛隊に敬意を表するように促すと、自民党議員らが起立して拍手した=2016年9月26日。

広がる「空気」、一喝した重鎮

2016年9月の臨時国会…この記事は有料記事です。残り1605文字。

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