高市政権が初めて一からまとめる来年度予算について、各省庁からの要求が出そろった。要求総額が異例の規模へと膨らんだことに、金融市場の警戒感は強い。政府は、経済成長と財政健全化の両立に向けて、必要な事業を徹底して絞り込んでいかなければならない。
要求総額は143兆円前後、4年連続で過去最大
一般会計の要求総額は前年の122・4兆円を大幅に上回り、143兆円前後となる見通しだ。4年連続で過去最大を更新する。要求総額が拡大したのは、「責任ある積極財政」を掲げる高市政権が、経済成長を後押しする予算編成改革を打ち出したためだ。
当初予算の成立後に補正予算でさらに歳出を増やす、という従来の方式を改めることで、査定が緩みがちな補正に紛れ込んでいた無駄を省くという。成長を促す投資などについては要求額の上限を撤廃する「強く豊かな日本」投資枠を設けた。
各省庁の要求は軒並み過去最大
日本経済は投資不足などで、「失われた30年」に陥っていた。官民の積極投資で閉塞感を打破しようという狙いは理解できる。だが、その結果、要求は、防衛省が9兆円近く、厚生労働省も36・5兆円と軒並み過去最大となった。経済産業省は特別会計を含めて前年の2倍以上となる7・7兆円に増えた。新たな投資枠分は総計で10兆円を超えるという。
そもそも、投資枠の対象はAI(人工知能)や半導体、アニメやゲームなどのコンテンツなど17分野と多岐にわたる。総花的で絞り込みが足りないとの指摘は強い。
市場の信認確保が大前提
防衛費の増額と攻めの投資、消費税の減税の財源を確保していくなど、予算編成の難度は高い。強い日本経済を実現するためには、市場の信認を得ることが大前提である。予算を野放図に膨らませてはならない。
特に、市場の信認という面からみて重要なのは、国債の利払い費が前年から3割近く増え、16・5兆円へと急増していることだ。普通国債の発行残高は約1100兆円に上る。財政政策への不安などから、長期金利は3%近くにまで上昇している。利払い費は大きく増えていく見通しだ。
高市首相が読売新聞のインタビューで、新規国債発行額について、ここ数年の、補正予算編成後の水準を大きく超えない40兆円程度に抑える考えを示したのは、市場の目を意識したのだろう。財政不安で過度な円安が止まらず、物価高を助長すれば国民の不満は収まるまい。市場動向には細心の注意を払う必要がある。



