読売新聞社は全国の有権者に電話し、内閣支持率などを原則として毎月調べる全国世論調査を実施している。調査に寄せられる質問への回答をまとめた。
調査対象の選び方と偏りへの対策
調査対象は、RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)と呼ばれる方式で選ぶ。コンピューターが無作為に選んだ電話番号に調査員が電話をかけ、固定電話の市外局番や携帯電話の「090」などに続く番号をランダムに組み合わせている。対象者の名前や住所は把握しておらず、読売新聞の購読有無とは関係ない。
固定電話に出やすい高齢層への偏りについては、固定電話では出た相手に同居する有権者の人数を尋ね、乱数で「年齢が上から○番目の方」と無作為に対象者を指定する。これにより、家で電話を取ることが多い高齢者や専業主婦などに回答が偏らないようにしている。2016年からは携帯電話も調査対象に加え、現在は携帯電話と固定電話が6対4程度の比率になるよう回答を集めている。固定電話の複数回線や携帯電話の複数台所有による偏りは、所有台数を尋ねて補正する。回答者の男女、年代、地域の割合が総務省発表の人口構成比と同じになるよう、データに重みづけする補正も行う。
調査の実施方法と回答率への懸念
調査は通常、金曜から日曜の3日間で実施する(新内閣発足などを受けた緊急調査の場合は平日2日間の場合もある)。昼に外出しがちな人にも対応できるよう、最終日以外は夜9時頃まで電話している。対象者が不在だったり「今は忙しい」と返答されたりした場合は、留守番電話にメッセージを残すなどして、調査期間中に複数回協力を依頼する。
回答数が少なく有権者全体の意見を反映していないのではという疑問には、1回につき約1000人から有効回答を得ており、これは全有権者の約10万人に1人の割合だと説明する。この手法は「標本調査」と呼ばれ、母集団全体を推計する。標本誤差は、無作為抽出法で1000人が回答した場合、統計学の理論上約3ポイント以内に収まる。
報道各社で数値が異なる理由
報道各社で調査結果の数値が異なるのは、標本誤差以外にも要因がある。読売新聞社の調査では、内閣支持・不支持の質問で曖昧に回答した人に対し、調査員が1回だけ「どちらかといえば、支持しますか、支持しませんか」と「重ね聞き」をする。これにより「答えない・わからない」が減り、「支持」や「不支持」が上積みされる。他社で重ね聞きをしない場合もあるが、どちらかが正しいのではなく、それぞれ同じ方法で調査を続けることで支持率の変化を正確に捉えることが可能となる。調査時期や質問の仕方によっても回答は変化し、「前回からの増減」は前回調査のタイミングによっても違いが生じる。読売新聞の社員が定期的にコールセンターで調査に立ち会い、適切に行われているかをチェックしている。
世論調査の意義と安全性
調査結果が自分の周囲やインターネットでの意見と食い違うことについては、政治に関して強い意見を持つ人ほど周囲に表明する一方、そうでない人はあまり表明しない傾向があると説明。SNSではアルゴリズムが自分と近い意見ばかりを表示する「フィルターバブル」現象も生じる。一般的なネット調査では、意思表示したい人が積極的に回答するため、回答数が多くても有権者全体の縮図にはならないという。
選挙で民意が示されているのに頻繁に調査する必要性については、選挙では候補者や政党の政策パッケージのほか、人柄や政党のイメージも参考に投票が行われ、投票先のすべての政策に賛同しているとは限らないと指摘。選挙後に新たな争点が浮上することもあり、投票に行かなかった有権者も含めて個別の政策への賛否や課題に対する意見が分かるのが世論調査の強みだとしている。
特殊詐欺などの怪しい電話ではないかという懸念には、調査期間中に読売新聞オンラインで告知し、発信用電話番号を掲載していると説明。調査員は読売新聞社の世論調査であることを伝え、性別、年代、職業、住まいの都道府県と市区町村、使用電話の番号数や台数、同居有権者数を尋ねるが、名前など他の個人情報は尋ねないとしている。もし聞かれた場合は安全のため回答せずに電話を切るよう呼びかけている。
電話調査以外の手段としては、年に数回「憲法」など特定テーマに関する郵送方式の世論調査も実施。電話調査より複雑な質問が可能で、じっくり考えて回答してもらえる利点がある。対象は1回につき3000人で、市区町村の選挙管理委員会の許可を得て選挙人名簿から無作為に抽出する。公益性の高い世論調査のための選挙人名簿閲覧は公職選挙法で認められている。
選挙時に投票先を尋ねる電話については、世論調査とは別に「選挙情勢調査」を実施している。国政選挙や注目される地方選挙の際に有権者の関心や候補者の勢いを探るもので、選挙区ごとの情勢を捉えるため多数の回答を集める必要があり、自動機械音声による電話調査とインターネット調査を併用。集計データを過去の選挙での調査結果に基づいて補正し、全国の本支社、総支局などの取材情報も加味して、調査時点での候補者や政党の優勢・劣勢を報道している。



