英国のキア・スターマー首相と欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は15日、ブリュッセルで会談し、英国のEU離脱後初めてとなる首脳レベルの対話を行った。両氏は安全保障や貿易分野での協力強化で一致し、新たな関係構築に向けた第一歩を踏み出した。
離脱後初の首脳会談、関係改善へ
会談は約2時間にわたり、英国のEU離脱から約5年を経て実現。両首脳は共同声明で「共通の課題に立ち向かうため、緊密に連携する」と表明。特にロシアのウクライナ侵攻を念頭に、安全保障分野での協力を深める方針を確認した。
スターマー首相は会談後、「EUとの関係をリセットする時が来た。相互利益に基づく新たな章を開きたい」と述べ、関係改善への意欲を示した。フォンデアライエン委員長も「英国は欧州の安全保障に不可欠なパートナーだ」と応じた。
貿易障壁の緩和も視野
両首脳は貿易面でも協議。英国のEU離脱に伴う通関手続きや規制の違いが企業に負担を強いており、その緩和に向けた対話を開始することで合意した。具体的には、動植物検疫や化学品規制の相互認証拡大などが議題に上がったとみられる。
英政府関係者によると、スターマー首相はEU単一市場への再加盟は否定しつつも、「非関税障壁を減らす実務的な協力」を追求する方針。EU側も英国との関係安定化を重視しており、今後の作業部会設置で一致した。
今後の日程と課題
両首脳は年内に再び会合を開き、進捗を確認することで合意。しかし、漁業権や金融サービスなど、離脱後の取り決めを巡る対立点は依然として残る。英国内ではEUとの接近に慎重な意見もあり、今後の交渉は曲折も予想される。
専門家は「今回の会談は象徴的な意味合いが強いが、具体的な成果を出すには時間がかかる」と指摘する。英EU関係は新たな局面を迎えたが、真の関係再構築はこれからが正念場となる。



