改正個人情報保護法が2026年7月10日、国会で成立した。AI(人工知能)開発に利点がある一方、病歴や信条といった要配慮個人情報を本人の同意なく提供可能とする点に懸念が集中している。参院本会議で可決後、松本尚デジタル相が一礼する場面も見られた。
法改正で企業が個人データを収集しやすく
今回の改正により、企業は個人データを大幅に収集しやすくなる。例えば、運動習慣と病気のデータを学習させ健康に役立つAIモデルを開発したり、複数企業のデータを組み合わせて顧客行動を高精度に予測するサービスを開発したりすることが可能になる。プライバシーテック協会の竹之内隆夫事務局長は「ビジネスサイドからの需要は確実にある」と述べる。マーケティングや広告への活用も期待される。
本人の同意不要の特例に批判殺到
しかし、4月に国会で議論が始まると懸念や批判が急速に広がった。中道改革連合の長妻昭衆院議員は「名前や住所付きで公開されていない病歴が提供される。嫌だと言っても認められない」と批判。問題となったのは、AI開発の場合に本人の同意を不要とする特例で、特に要配慮個人情報まで同意なく外部提供され得る点に懸念が集まった。複数のデータをまたいで個人情報をひも付ける要望が経済界にあり、データから氏名を削除する義務もない。
匿名化義務化の主張に政府は応じず
立憲民主党や公明党などは「流出や悪用のリスクが高く、せめてデータの匿名化を義務付けるべきだ」と主張したが、松本尚デジタル相は参院特別委員会で「名寄せの必要性や技術的困難性を考えると、今回はやむなしという部分がある」と述べ、義務化に応じなかった。
今後の影響と課題
改正法の成立により、私たちの生活にどのような影響が及ぶか注目される。AI開発の促進とプライバシー保護のバランスが問われる中、今後の運用と監視体制が重要となる。



