1歳の息子を昨年から保育園に通わせている千葉県柏市の会社員の男性(34)は、市から送られてきた保育料の通知を見て、がくぜんとしたことを覚えている。月約7万1千円で、年間85万円以上に上る。一方、すぐ隣の東京都は2025年9月に所得制限なしですべての0~2歳児の保育料を無償化した。男性は「さすがに差がありすぎる」と話す。
第2子も考えているが、国の負担軽減策で保育料が半額になっても、3歳未満の子ども2人なら月10万円を超える。「東京の高い家賃を考えても、都内で暮らした方が安いのではないか」と男性は思う。妻(34)も「都内に(子育て世代が)流れるのも仕方がないよね」とこぼす。
潤沢な税収背景に独自サービス
東京都は潤沢な税収を背景に、近年、独自の行政サービスを相次ぎ打ち出している。このままでは東京への人口流出が一段と進みかねないとして、東京以外の自治体は危機感を募らせ、都との税収格差の是正を求める声が強まっている。
東京都は、こうした行政サービスや税収の格差を巡る議論が統計データに基づかずに行われており、都の独自の子育て支援策によって出産世代の人口流入が進んでいる実態は見えないと指摘している。
統計データが示す転出入の実態
総務省と厚生労働省の統計によると、都内で昨年に生まれた子どもの母親の約7割を30代が占める。その30代(日本人)では2020年以降、東京都への転入はほぼ横ばいである一方、他道府県への転出は転入を上回る状態が続いており、2025年は東京都から全国の他道府県に対して計1429人の転出超過だった。
埼玉、千葉、神奈川の3県知事は、東京都との税収格差を背景に、子育て支援などの行政サービスで差が生じていると指摘。人口流出に歯止めをかけるため、国に税収格差の是正を求める動きを強めている。



