商談や交渉を成功させるカギは、相手との距離を「70センチ」に保ち、胸の開きや向きを意識することだ。非言語コミュニケーションの専門家である荒木シゲル氏(コムトレーニング講師、パントマイム・アーティスト、FACS認定コーダー、CGArts協会委員)が、相手の心を揺さぶる具体的なテクニックを解説した。
胸を閉じた姿勢は「共感・傾聴」のサイン
胸を閉じた姿勢は「共感・傾聴の姿勢」でもあるため、意図的に使える状況もある。特にクレーム対応や否定的な意見への対応では、相手の感情を落ち着かせたいときに有効だ。
相手が感情的に話しているときは、反論せず胸を閉じて話を聞くことで、「申しわけない」「反省している」という印象を与える。さらに、相手が落ち着いたタイミングを見計らって胸を開きながら「では、こういう考えはいかがでしょう?」と提案することで、最終的にこちらのペースに引き込むことができるという。
胸の向きは「意識」の方向を表す
胸の向く方向は、その人の「意識」が向いている方向と考えることができる。たとえば、パソコンの作業中に話しかけられたとき、顔だけ相手に向けて返事をしたら、意識はパソコンに向いていて「仕事の邪魔をされたくない」とノンバーバルで伝えているように見える。
どこに気持ちが向いているのかを明確にするには、目線や顔の向きでは不十分で、姿勢を変え胸を相手にきちんと向けて会話をする必要がある。会議や面談でも、確実に伝えたい相手の方向に胸を向けて発言することで、言葉の伝わり方が大きく変わる。
距離感と胸の動きで心理的圧力を高める
相手に胸を向けて会話することは関係構築にも役立つ。初対面でも相手に心から向き合っている「誠実な人」という印象を与え、警戒心を解くうえでも効果的だ。
胸の「開き」と「向き」に加えて、先に説明した「70センチ」の距離の変化も合わせて実践することで、交渉で決断を仰ぐ際に心理的な圧力をさらに高めることができる。全身の中でも頭と胸は特に重要なパーツであり、的確にコントロールすることが求められる。



