農林水産省は、ブランド果実など農作物の種苗が海外に無断流出する問題を受け、2026年8月までに種苗の権利を管理する新たな専門機関を立ち上げる。新機関は、品種開発者に代わって国内外での無許可栽培を監視し、権利侵害が確認された場合には海外での訴訟手続きを代行する。これにより、開発者の負担を大幅に軽減する狙いがある。
背景:約50品種が中国・韓国に流出
農水省が2025年に実施した調査によると、愛媛県の高級かんきつ「紅プリンセス」を含む日本開発の約50品種の種苗が中国や韓国に流出し、インターネット上で無断販売された可能性が判明した。この事態を受け、政府は種苗法の改正と新機関の設置を柱とする対策を強化する。
新機関の機能と構成
新機関は国内に拠点を置き、知的財産法や農作物に精通した専門家で構成される。主な業務は、国内外での無許可栽培の監視、権利侵害時の訴訟代行、正規の許諾取得促進、許諾料の徴収・管理である。徴収した許諾料は新たな品種開発の投資に充てられる。また、国内の種苗業者に対する監査も検討されている。
開発者の負担軽減
これまで、新品種を開発した自治体や個人は、言語の壁や現地の法令知識不足から、海外での権利侵害を訴えることが困難だった。新機関が代行することで、こうしたハードルが解消され、権利保護が実効性を帯びる。
今後の展望
農水省は今国会での種苗法改正を目指すとともに、新機関の早期稼働を図る。これにより、日本の優良品種が海外で無断栽培されるリスクを低減し、品種開発のインセンティブを維持する。



