リニア静岡工事、川勝前知事が「百害あって一利なし」と改めて懸念
リニア静岡工事、川勝前知事が「百害あって一利なし」

静岡県の川勝平太前知事(77)がリニア中央新幹線静岡工区の工事について、改めて強い懸念を示すメッセージを11日、静岡市内で開かれた市民団体の集会に寄せた。メッセージは、工事が「南アルプスにとって百害あって一利なし」と強調する内容で、7日に現職の鈴木康友知事が着工容認を表明した後の新たな動きとして注目される。

川勝前知事のメッセージ、市民集会で読み上げられる

この集会は、リニア工事に反対する「南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡」が主催。同団体が川勝氏に出席を依頼したところ、8日にメッセージがメールで届いたという。川勝氏は集会に参加せず、メッセージでの意思表明となった。

川勝氏はメッセージの中で、「南アルプスは命の水が山全体にしみわたり、様々な生物が息づいている」と述べ、工事に伴って大井川の流量が減少したり水質が悪化したりすると主張。「天下の至宝である南アルプスに計り知れない危害を及ぼそうとしている」と懸念を表明した。

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県は有識者会議でJR東海の対策案を了承

静岡県は、大井川の流量減少や生物多様性への影響について有識者会議で議論を重ね、JR東海が示した対策案を了承している。これにより、県は工事の環境影響に関する懸念を一定解消したと判断し、鈴木知事が着工容認に至った。しかし、川勝氏はなお環境への悪影響を強く危惧している。

川勝氏は2017年に流量減少などを懸念して工事への反対を明確に表明。以来、長期にわたり反対姿勢を貫いてきたが、2024年に新入職員への訓示での失言などを理由に知事を辞任した。メッセージの中では、「公職を離れてからは山小屋で一介の在野の書生として仙人のような生活をしている」と現在の心境を綴った。

リニア工事を巡る今後の焦点

リニア中央新幹線は、東京・品川と名古屋・大阪を結ぶ計画で、静岡工区は南アルプスを通過するトンネル工事が含まれる。環境影響への懸念から工事が長らく停滞していたが、静岡県の着工容認により、開業への道筋が大きく前進した。ただ、工事の具体的なスケジュールやコスト増加の見通しなど、依然として課題は多い。

川勝氏のメッセージは、工事反対派の象徴的存在である同氏の姿勢を改めて示すものであり、今後の工事進捗や環境監視の在り方に影響を与える可能性がある。鈴木知事は着工容認に際し、環境対策を徹底する方針を示しており、両者の主張の隔たりが改めて浮き彫りとなった。

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