障害者雇用の業務設計「切り出し」から脱却、AI時代に社員の強み引き出す3つのアプローチ
障害者雇用の業務設計「切り出し」から脱却、AI時代に社員の強み引き出す3つのアプローチ

2026年7月、民間企業における障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられた。障害者雇用に携わる実務者の声を聞くと、採用・業務・定着の各段階で課題があることが分かる。本稿では、これらを「一連のプロセス」と捉えることの重要性を指摘した上で、業務設計に焦点を当てる。

従来の「業務切り出し型」からの転換

これまでの障害者雇用の業務設計は、既存業務の一部を切り出し、障害のある社員に担当してもらう「業務切り出し型」が採用されてきた。しかし、デジタル化や業務効率化によって定型業務が変化する中、単に切り出すだけでは対応が難しい場面が増えている。

そのため障害者雇用の先進企業では、業務設計や評価制度を見直す取り組みが進められている。本稿では、大手企業の人事向け情報交換会で共有された事例を基に、これからの障害者雇用のヒントになる3つのアプローチを紹介する。

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障害者の能力を引き出す3つのアプローチ

まず重要なのは、「業務ありき」の考え方を改めることだ。情報交換会では、障害のある社員の能力を引き出す方法として、以下のような事例が共有された。

  • 高いPCスキルや正確なデータ処理能力を持つ人材が、給与計算や資料作成などの管理部門業務を担当している
  • 緻密な手作業やルーティンワークへの集中力を生かし、正確性が求められる検品や仕分け、書類整理などの業務で中心的な役割を担っている
  • 一定時間ごとの休憩が必要といった特性を踏まえて業務を設計し、安定して成果を発揮できる環境を整えている
  • RPAやマクロなどを扱えるITスキルを持つ人材が業務改善プロジェクトに参加し、現場の業務効率化を担う役割として活躍している

これらの取り組みに共通しているのは、既存の業務を割り当てるのではなく、障害のある社員のできることや強みを起点に、役割そのものを設計している点だ。「本人がどのような役割で力を発揮できるか」へと発想を転換することで、障害のある社員と業務をより適切に結び付けられる。

評価制度の見直しと今後の展望

障害のある社員の評価については、特別な基準を設けるべきかどうかも議論の対象となる。後編では、大手企業の情報交換会で共有された事例を基に、これからの障害者雇用のヒントになる3つのアプローチを詳しく解説する。

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