副首都構想を巡る国会論戦では、大阪を中心とした議論が進められているが、経営学者の長田貴仁氏は「大阪ありき」の前提に疑問を呈し、岡山県吉備高原を有力な候補地として指摘している。
岡山の農業生産力と災害リスク
食料面では、岡山県は農業生産力が高く、コメをはじめとする農産物の供給力を備える。瀬戸内海の水産資源や食品関連産業の存在も、危機時の生活基盤を支える要素となる。
もっとも、岡山県内であっても沿岸部においては災害リスクが想定される。県の想定では、最大震度6強、死者約3000人、建物全壊等約1万9000棟に達し、沿岸部では最大津波高2.6メートル、液状化リスクも指摘される。
したがって、副首都の中核拠点を考える場合には、県内でも立地条件を慎重に選ばなくてはならない。そこで注目されるのが吉備高原だ。
岡山なら実現する「二拠点型」の副首都構想
岡山県中央部に広がる吉備高原は津波の影響を受けにくく、広大な土地を確保できる。津波の影響を受けにくく、広大な土地を確保できることから、データセンター、政府のバックアップ施設、研究開発拠点などを配置する候補地として検討する価値がある。
吉備高原は、地質学的に極めて安定した地域として知られる。地震波トモグラフィーを用いた調査では、地下20キロメートルほどにわたって固い岩盤が広がっていることが確認されており、明確な活断層も見つかっていない。少なくとも3400万年にわたって大きな地殻変動を受けていないとする研究報告もある。内陸の高台に位置するため、津波や液状化の心配も少ない。
ただし、この安定性は吉備高原一帯の話で、県全域、とくに沿岸部に当てはまるものではない。重要なのは県内でリスクを見極め、機能を使い分ける発想だ。
こうした地質的な安定性は、東京との同時被災を避けながら国家機能を維持するという観点からも、際立った強みだといえる。その意味で、岡山市の都市機能と隣接する吉備高原の立地特性を組み合わせる「二拠点連結型」の副首都構想は、従来型の大都市集中型とは異なる新たな提案となりうる。
ただし、留意すべき点はある。岡山は「名古屋と並んで営業マンが苦労する街」と称される土地柄だ。地元経済の中だけで商売が完結してきた歴史が長く、外部の人間とは打ち解けにくい閉鎖的な一面も持ち合わせている。
そのような地域特性に加えて、岡山弁に違和感を覚えるという言語障壁も、かつては指摘された。しかし近年は、お笑いコンビの千鳥やミュージシャンの藤井風といった著名人の活躍で、岡山弁への親しみが増したうえ、イントネーションやアクセント自体は標準語に近いため、他県出身者にも受け入れられやすい。この言語的需要性の高さは副首都としての隠れた優位性といえるが、本命とされる大阪はこれと対照的な特異性を持っている。



