金利上昇と家計、リスク点検の局面 社説
金利上昇と家計、リスク点検の局面

超低金利の長いトンネルを抜け、家計が金利の恩恵をはっきりと感じられる時代が到来した。リスクも点検しながら、しっかりと資金の運用方法を考えていきたい。

金利上昇で家計に恩恵

日本銀行は1999年にゼロ金利政策を導入し、短期金利がゼロの時期が長かった。さらに2013~23年の黒田東彦前総裁時代は、大規模な金融緩和策で長期金利もゼロの時期が多かった。

このため、預金金利も「雀の涙」と称されるようにほとんどつかず、家計の恩恵は乏しかった。

しかし、時代は様変わりした。日銀が今週、政策金利を約31年ぶりの高水準となる1.25%程度に引き上げ、長期金利は25日、一時3.115%に上昇した。

銀行は普通預金の金利を相次いで0.5%に引き上げる予定だ。今回の利上げで1世帯あたり年6000円の所得押し上げ効果があるという。家計は恩恵を明確に感じられることだろう。

運用先の選択と自己責任

定期預金や個人向け国債、社債、株式など、どの運用先が有利か、国民の関心は高まっている。

忘れてはならないのは、投資は自己責任であり、高いリターンが見込める運用先はリスクも高く、リスクが低ければリターンも少ないという原則だ。

例えば大手企業が個人向けに発行する社債は年5%近いリターンを見込めるが、個人向け国債のような元本保証はない。

金融庁はかねて金融経済教育の重要性を訴え、24年には官民一体の公的機関を創設した。改めて金融教育の重要性について啓発活動に力を入れるべき局面だ。

住宅ローンと奨学金への影響

一方で、住宅ローンを抱える現役世代も注意が要る。住宅ローンの8割を占める変動金利型は、日銀の政策金利に連動する。また、35年といった固定金利型は長期金利との関係が強い。

いずれも、日銀の利上げ局面では返済額が膨らみがちだが、どちらを選ぶかは、今後の金利動向をどう見通すかに左右されよう。

東京都心で「億ション」が常態化し、月々の返済額を抑えるため返済期間が50年の住宅ローンを組む人が増えている。だが、50年もの長期の市場変動の予測は難しいことに、留意する必要がある。

金融庁も、利用者の返済能力を超えた融資の有無について、金融機関の監視を強化するべきだ。

金利上昇の影響は、大学生などが借りる奨学金にも及ぶ。日本学生支援機構の奨学金は、利率変動タイプがある。リスクを理解して借り入れることが大切だ。