岸田政権の経済政策「新しい資本主義」の現状
岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」は、成長と分配の好循環を目指す経済政策である。2021年の政権発足以降、賃上げ促進や資産所得倍増計画など具体策を打ち出してきた。しかし、物価高が長期化する中で、実質賃金の伸び悩みが課題となっている。2023年の春闘では30年ぶりの高水準の賃上げが実現したが、物価上昇率を下回るケースが多く、家計の実感は乏しい。
少子化対策と社会保障改革
岸田首相は「異次元の少子化対策」を掲げ、児童手当の拡充や出産費用の保険適用などを進めている。2023年には「こども未来戦略方針」を策定し、2024年度から児童手当の所得制限撤廃や多子世帯への加算を実施。しかし、財源確保が最大の難題であり、社会保障費の自然増を抑制する改革が不可欠とされる。政府は2025年度までの集中期間に、子ども・子育て予算を倍増する方針だが、消費税増税には慎重な姿勢を見せている。
外交安全保障の課題
岸田外交の柱は、日米同盟の強化と自由で開かれたインド太平洋戦略である。2023年のG7広島サミットでは、ウクライナ支援や核軍縮へのコミットメントを示した。一方、中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル発射への対応が喫緊の課題だ。国家安全保障戦略の改定により、防衛費をGDP比2%に引き上げる方針を打ち出したが、財源のめどは立っていない。2024年度予算案では防衛費が過去最大の約7.9兆円となり、増税による財源確保が議論を呼んでいる。
党内基盤と政権運営の課題
岸田首相は、安倍派や麻生派など党内各派とのバランスを重視する運営を行っている。2023年の内閣改造では、派閥の力学を反映した人事が注目された。しかし、統一教会問題や旧文通費の使途不透明など、政治資金を巡るスキャンダルが支持率に影響を与えている。2024年に入っても、自民党の政治資金パーティー収入の不記載問題が発覚し、国民の信頼回復が急務となっている。岸田首相は派閥の解散を指示したが、根本的な政治改革には至っていない。
今後の展望と国民の評価
各種世論調査では、岸田内閣の支持率は30%前後で推移し、政権運営は正念場を迎えている。経済政策の成果が目に見える形で現れるかどうかが、今後の評価を左右する。また、2025年には参院選が控えており、それまでに少子化対策や防衛費増額の財源メカニズムを明確にする必要がある。岸田首相は「聞く力」を強みとするが、リーダーシップの弱さを指摘する声も多い。今後の政局では、野党の追及や党内の動きが注目される。



