山本太郎・れいわ新選組代表が突然の引退を表明したことで、同党は事実上の消滅状態に陥った。2026年7月13日に開かれた代表辞任会見で、山本氏は「国会議員にはもうなりませんよ、ってことです。ハハハハッ、やめた! やりません、もう」と笑顔で軽妙に語り、記者団を戸惑わせた。7年前の設立時には「この国に生きる人々にお仕えし、お守りいたす」と悲壮感を漂わせて国政に挑む決意を示していたことから、その変貌ぶりは際立っている。
カリスマ性と軽妙な話術が生んだ躍進
選挙アナリストは「そのカリスマ性と、軽妙だが真剣みあふれる話術が有権者の心に刺さり、れいわという新興政党の躍進につながった」と振り返る。山本氏を7年間支えてきた側近は、支持者の心理について「れいわを支持してきた有権者は、山本氏について『“左”や“右”の思想に関係なく、とにかく不満や鬱憤のたまった日常を打破し、私益私欲に走る政治家を懲らしめてくれる人物』と信じていた」と語る。
参政党躍進の裏にれいわ支持者の移動
政界では「山本氏にとって代わりつつあるのが、“超タカ派”の参政党・神谷宗幣代表」(政治ジャーナリスト)との声が少なくない。自民党長老は「神谷氏は『日本人ファースト』を掲げ、大衆に“反エリート”を訴えかける点では、山本氏と共通している」と指摘する。年明けの衆院選で参政党は24年の3議席から15議席へ5倍増となり、衆院で5番目の中堅政党に躍進。選挙アナリストは「山本氏を見限ったれいわ支持者を取り込んだ結果」と分析する。
政界保守化と革新左派の後退
今回の「山本れいわの消滅」と「参政党大躍進」はコインの表裏の関係にあり、政界総保守化に直結している。保守派の高市早苗首相(自民党総裁)が誕生してから間もなく9カ月。年明けの衆院選での自民党の歴史的大勝を受け、自民党と日本維新の会の連立による高市政権は、皇室典範改正や国旗損壊罪など「国論を分断する“タカ派政策”」(自民党長老)の実現に突き進んでいる。
山本氏の責任と今後の課題
こうした中での“れいわ消滅”をきっかけとする革新左派勢力の総後退は「中央政界のさらなる保守化につながる」(政治ジャーナリスト)ことは否定しようがない。その一方で、「軍備拡大などによる“戦争ができる国”への道筋を危惧する国民の声が日増しに拡大している」(同)とされる。結果的に、山本氏の“軽挙妄動”の責任は小さくない。今後は、政界と国民の意識の乖離に高市首相らがどう対応するかが日本の進路を占うカギとなりそうだ。



