政府が地方自治体に対し、民間企業への発注で導入を求めている「低入札価格調査」制度について、市区町村平均の導入率が38%にとどまることが総務省の調査でわかった。市区町村の人手不足などが低迷の背景にある。政府は、地方の中小企業の賃上げや適正な価格転嫁につなげるため、自治体に導入を一層呼びかける方針だ。
制度の目的と導入状況
同制度は、入札の際に設定した価格を下回る価格を提示した事業者に対し、十分な賃金を払えるかどうかを確認する。不適当である場合、落札を認めない。著しく安い不適切な契約を防ぐ効果があり、人件費や物価の上昇を契約額に反映させやすくなることも期待される。
政府は自治体が民間企業に発注する「官公需」を巡り、同制度か、設定価格を下回った事業者を自動失格にする「最低制限価格」制度のいずれかを導入するように求めている。制度導入は努力目標で、未導入による罰則はない。政府は2027年度末までに、全ての都道府県と市区町村が全契約で導入することを目指している。
分野別の導入率と地域差
総務省は今年4月、全国の都道府県と市区町村に対し、低入札価格調査・最低制限価格制度の導入状況を調べた。その結果、工事や測量・土木調査、建築設計などの「工事」分野では全市区町村平均で74.1%が導入されていたが、施設の維持管理や警備など「工事」以外の分野での導入率は21%にとどまり、全平均(38%)を押し下げた。
市区町村の導入率が全国最高だったのは高知県の61.5%。全国最低は愛媛県の19.7%で、愛知県21.5%、大分県22.5%、秋田県23.2%と続いた。都市部の東京都は45.4%、大阪府は31.1%だった。導入率は市区町村間で隔たりがあり、愛媛県内では導入率が1桁台の自治体が6市町ある一方、9割を超える市もあった。
導入遅れの理由と今後の方針
工事以外の分野で導入が遅れている理由について「人手不足」「ノウハウや参考となる基準がない」などの回答が寄せられた。「導入の必要性を認識していない」との回答も多数寄せられ、制度に対する理解不足が浮き彫りとなった。
地方経済は官公需が占める割合が高く、政府が目指す「物価上昇を上回る賃上げ」を実現するには、官公需で適正な価格転嫁を進めることが必要不可欠だ。総務省幹部は「自治体に対する説明会や個別のヒアリングを重ねて、地方で価格転嫁が進むようにしたい」と話している。



