政府は、食料品の消費税率を来年4月から2年間限定で1%に引き下げることに伴う地方の減収分について、原則として国が穴埋めする方向で検討に入った。地方自治体の社会保障財源に穴が開きかねないという地方側の懸念を払拭することが、減税の円滑な実施には不可欠だと判断した。
複数の政府関係者が明らかにした。政府高官は「国の判断による減税であり、補填は避けて通れない」としており、一時的な地方の減収を埋める地方特例交付金で措置する案が浮上している。岸田内閣が実施した1人4万円の定額減税の補填で活用された例がある。
地方財源への影響と懸念
食料品の消費税率が現在の8%から1%となれば、地方財源は、国が徴収して地方に配る地方消費税(約1兆円)と、消費税の税収から国が自治体に配分する地方交付税交付金(約7000億円)で年間計1・6兆円の減収が見込まれる。
消費税の税収は年金や医療、介護、子ども・子育て支援の社会保障4経費などに充てると定められており、地方側には住民サービスに影響が出かねないと危惧する声があった。5日には全国知事会と全国市長会などが「必要な財源を確実に措置する」よう国に求める共同声明を出していた。
政府の基本方針と今後の協議
政府が5日に閣議決定した消費税減税と「所得に連動したきめ細かな給付」制度の実施に向けた基本方針では、財源について「地方の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応する」と明記していた。
政府は10日、新たに導入する「所得に連動したきめ細かな給付」制度に関し、国と地方による初の協議を行い、地方自治体に一定の財政負担を求める考えを示した。地方側は反発しており、引き続き協議する。
政府は2027年度から消費税率1%分にあたる6000億円規模で制度を先行導入し、29年度に本格導入する方針だ。政府は同日の協議で、中低所得者の税や社会保険料の負担軽減が目的だと説明し、社会保障関連の給付では従来、国と地方が「応分の財政負担をしながら支えてきた」と理解を求めた。例えば生活保護費は国が4分の3、自治体が4分の1の財源を負担している。
地方からは「国の責任で全額措置すべきだ」など反対意見が出た。城内成長戦略相は「地方の財政運営に支障が生じないよう、よく協議したい」と応じた。
政府はこの日、自治体の給付事務の負担を軽減するため、公金受取口座を登録した住民には、申請がなくても給付できるよう法整備を検討すると表明した。



