延長国会が最大のヤマ場を迎えている。争点の中心にあるのが、日本維新の会の肝煎りとされる「副首都構想関連法案」だ。だが、現状の国会での議論は副首都に関する本質的な論点を置き去りにしたものといえる。
国会の論戦が置き去りにしている「副首都」の論点
副首都構想関連法案は、東京圏の政治・経済機能が大規模災害で麻痺した際に代替拠点を確保し、同時に東京集中を是正する多極分散型の国土運営を進める制度として位置づけられる。
7月15日、衆議院本会議で自民党、維新、チームみらいの賛成により可決。これにより審議の舞台は参議院へ移ったが、この段階で副首都となる都市が決まるわけではない。参議院で問われるのは法案の成立可否であり、具体的な都市の選定は法案成立後に政府が基本方針や政令で進める後段のプロセスに委ねられる。
この間、自治体側の動きはすでに活発化してきた。大阪が先行して名乗りを上げる中、名古屋、福岡、札幌なども副首都候補として意欲を示し、誘致競争の様相を呈しつつある。制度は特定都市を前提としたものではなく、国家機能の再配置をめぐる広域自治体間の競争が本格化している。
利便性以上に重んじるべき要素
国会論戦の焦点は、もっぱら「大阪ありきか否か」という政治的な駆け引きに終始してきた。地盤とする大阪の副首都化を念頭に置き、この法案成立に積極的な維新は、大阪を強く推す姿勢を崩していない。
これに対して、自民党は維新との修正協議の過程で「大阪限定」を避けるため、法案上は複数都市の指定も可能とする抽象化を盛り込み、「大阪だけを想定した制度ではない」「防災・危機管理の観点から柔軟に判断できる」と説明している。
チームみらい以外の野党は「大阪を念頭に置いた法案ではないか」「副首都の定義が曖昧だ」と追及する。だが、この攻防では決定的な論点が見落とされたままだ。首都と同時に被災しないための安全基準に照らすと、大阪は実はかなり分の悪い候補地だ、という防災上の現実が浮かび上がる。



