政府は、不法滞在や不法就労の取り締まりを強化している。サイバーパトロールなど新たな摘発手法の導入にも乗り出した。7月28日には、摘発や在留審査を担う入管庁職員を226人増員する政令を閣議決定した。
外国人材の受け入れが広がる中、ルール違反の放置が国民の不公平感を強めかねないとの危機感が背景にある。対策の土台は、出入国在留管理庁が石破茂政権下の昨年5月に策定した「不法滞在者ゼロプラン」だ。退去強制が確定したまま国内にとどまる外国人を令和12年末までに半減させる方針を掲げる。
サイバーパトロールと摘発強化
政府は今年5月、目標達成に向けた重点策として「摘発の強化」を新たに加えた。具体策の一つがサイバーパトロールだ。外国語でやり取りされる不法就労の募集や偽造在留カードの売買情報をSNS上から収集・分析し、摘発の端緒とする。人工知能(AI)を使った自動巡回システムの導入も検討している。
石破政権で法務政務官としてゼロプランの取りまとめを担った自民党の神田潤一衆院議員は、退去強制が確定した外国人を放置すれば、不法滞在や不法就労を目的とする者を日本に誘引しかねないと指摘。「入り口、中間、出口で、毅然(きぜん)とした対応を示すことが重要だ」と訴えた。
成果と今後の課題
昨年5月のゼロプラン策定以降、一定の成果も出ている。今年1月1日現在の不法残留者は6万8488人で、前年比で6375人減った。令和7年に護送官付きで国費送還した外国人も318人に上り、過去最多となった。
小野田紀美外国人共生担当相は「ルールを守って暮らしている外国人が住みづらくなってしまうことがあってはならない」と強調する。違反者には厳正に対処する一方、ルールを守る外国人が不利益を被らない環境を整える。「正直者がばかを見ない」制度を構築できるかが問われている。



