旧敵国条項削除要求は当然だ 高市首相の国連演説を支持する
旧敵国条項削除要求は当然だ 高市首相の国連演説

高市早苗首相が国連総会での一般討論演説で、先の大戦の敗戦国を対象とする国連憲章の旧敵国条項の早急な削除を訴えた。これに対し、中国外務省の報道官は会見で、旧敵国条項は「ファシズムや軍国主義が再び国際平和と安全の脅威となることを防止する目的がある」と述べ、削除要求を批判した。

中国は最近、旧敵国条項を使って日本への不当な非難や軍事的恫喝を繰り返している。首相が削除を求めたのは、中国への反論の意味合いもあり妥当だ。日本の国益にかなっている。

国連憲章第53条が認める武力行使

旧敵国条項の一つである国連憲章第53条は、旧敵国が侵略政策をとる場合、加盟国に安全保障理事会の許可なしに旧敵国への武力行使を認めている。国連憲章は1945年6月に調印され、同年10月に発効した。第二次大戦の最終局面を反映している。旧敵国は、日本、ドイツ、イタリア、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア、フィンランドとされる。

だが、日本を含む旧敵国は国連に加盟し、侵略など少しも考えない国ばかりだ。日本は多額の分担金を支払い、国連の取り組みに大きく貢献してきた。

死文化を示す決議と削除の決意

95年の国連総会で、旧敵国条項は時代遅れで死文化したとの認識を示す決議が、中国を含む圧倒的多数の賛成で可決された。2005年の国連総会では、旧敵国条項を削除する決意を示した決議が無投票による全会一致で採択された。これにも中国は加わっている。だが憲章改正による削除は実現していない。総会で加盟国の3分の2以上の賛成と、全ての安保理常任理事国を含む加盟国の3分の2以上の批准が必要という難しい改正条件があるとしても、長年の放置は残念だ。

中国の軍事的脅しと一貫性の欠如

中国政府は高市首相の台湾有事発言への不当な攻撃を始めてから旧敵国条項を持ち出した。在日中国大使館はXに「(旧敵国が)侵略政策に向けた行動を取れば直接軍事行動を取る権利を有する」と投稿した。露骨な軍事的脅しだ。国連での前言を翻す、信義と一貫性に欠ける外交の典型でもある。「武力又は武力による威嚇に訴えない」とした日中共同声明も踏みにじっている。

台湾有事や尖閣諸島有事で、中国が同条項を日本侵略の口実にできないよう、日本政府はその無効性を強く発信し続ける必要がある。