“誠お兄さん”こと福尾誠が1日、母校・順天堂大学スポーツ健康科学部の特任助教に就任したことを発表した。NHK『おかあさんといっしょ』で第12代体操のお兄さんを務めた後は、タレントとして活動の幅を広げる一方、ステージ公演やイベント、各種メディアを通じて体を動かすことの楽しさを表現してきた。今回、どのような経緯で特任助教に就任したのか、仕事内容や今後の目標、自身のキャリアについて独占インタビューで語った。
母校への感謝と決意
就任について福尾は「母校である順天堂大学にこのような形で戻ることができ、大きな喜びと同時に、非常に身が引き締まる思いです」と心境を明かした。順天堂大学は体操選手として競技に取り組み、指導者や研究者としての基礎を学んだ活動の土台であり、「これまでに培ってきたスポーツ健康科学の知見や、現場で多くの子どもたちと接してきた経験を、研究・教育という形で社会や次世代に還元できる機会をいただき、感謝と大きなやりがいを感じています」と語る。
特任助教への就任の経緯については、日ごろ全国の子どもたちや保護者と接する中で、体を動かすことへの課題や発達段階における疑問など、現場ならではの声に触れてきたことが背景にあるという。「その課題解決のために、大学での学術的な研究に取り組むことで、より多くの子どもたちや保護者の方々の課題解決の一助になるのではないか、という思いが強くなっていきました」と説明。母校の先生方に今後のキャリアや関心について相談を重ねてきたという。
研究・実践・教育の3つの柱
特任助教として行う仕事は、大きく分けて研究、実践(地域・医療連携)、教育の3つ。研究面では発育発達学およびスポーツ教育・健康増進に関する研究と情報発信を行う。実践面では、子ども向け運動プログラムおよび地域貢献イベントの企画・運営に加え、順天堂の附属病院と連携し、小児科病棟に関わる子どもたちが安全に楽しめる運動・表現プログラムの開発に取り組む予定だ。教育面では、本学生徒(学部生・大学院生)と連携した社会貢献活動を推進していく。
これらの活動の背景には「どんな環境にいる子どもたちにも体を動かすことの楽しさや喜びを届けたいという強い思い」があると福尾は語る。生活環境の制限によって体を動かす機会が限られている子どもたちにも、スポーツ健康科学の知見があれば安全で効果的な運動や遊びを提供できると考え、「多様な状況にある子どもたちのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質・生活の質)向上や健やかな成長を支える架け橋となりたい」と抱負を述べた。
デジタル時代の子どもたちに向き合う
発育発達学の研究に興味を持った理由について、福尾は自身が設立した「coseiro株式会社」に言及。「子どもたちが五感をフルに使って夢中になるリアルな体験が決定的に不足している」ことが会社設立の背景だと説明する。スマートフォンの普及やコロナ禍を経て、子どもたちの生活習慣や遊ぶ環境は劇的に変化し、「情報の波の中で、いつの間にか周りと自分を比べてしまい、自分らしさをそっと閉じてしまう子どもたちも少なくありません」と現状を指摘。一方で、現場で子どもたちと体を動かしていると、楽しさやうれしさで表情や心身の動きの表現が劇的に変化する瞬間を何度も目撃してきたという。
その経験から「体を動かすことがなぜ子どもたちの成長に良いのかを感覚だけでなく、科学的なデータや学術的根拠を持って解明・証明することの重要性を痛感しました」と述べ、「発育発達のメカニズムを正しく理解し発信することが、次世代を担う子どもたちの健やかな成長や教育環境の向上に直接つながり、持続可能な社会を創る本質的な基盤となると確信したためです」と研究への思いを語った。
タレント活動との両立と今後の展望
メディアやステージでの表現活動と大学での教育・研究活動は一見異なるが、「子どもたちと保護者の方々の健康を支えるという根底にある思いは全く同じです」と福尾は強調する。学術論文や専門書に書かれている研究成果は時に難しく届きにくいことがあるが、「僕自身が直接子どもたちや保護者の方々に届ける活動を続けることで、最新の研究知見を分かりやすく、楽しく実践できる形で世の中に発信できると考えています」と語った。
両方の活動を突き詰めることは「決して容易なことではありませんが、研究と表現の相乗効果を生み出せるのは僕ならではの強みだと信じています」とし、「体を動かすことへの楽しさや、健康への効果の発見を、たくさんの方々へ届けていきたいです」と意気込みを見せる。最後に「いつも一緒に遊んでくれる子どもたち、そして、これまで温かく見守り応援していただいている皆さまのおかげで、こうして新たな一歩を踏み出すことができました。心から感謝しています。大学での研究や教育という新たな挑戦を通じて、子どもたちが笑顔で健やかに育っていける未来を実現できるよう、真摯に、そして実直に研究と向き合っていく所存です」と決意を新たにした。
プロフィール
福尾誠(ふくお・まこと)/1992年1月11日生まれ、東京都出身。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程を修了し、博士号(スポーツ健康科学)を取得。「体操のお兄さん」を4年間務め、現在は自身が代表を務める「coseiro株式会社」にて、こどもの“こせいを彩る体験プログラム”を監修・考案。全国でイベントや講演活動を行っている。



