「副首都=大阪」の落とし穴 独自文化がもたらす課題とは
「副首都=大阪」の落とし穴 独自文化がもたらす課題

副首都構想関連法案の議論が「副首都=大阪」という前提で進んでいる感がある中、大阪人の特異なコミュニケーション文化から副首都論争のあるべき姿を考える。

収穫逓増の考え方と大阪の文化

経済学者W・ブライアン・アーサーが示した「収穫逓増」の考え方では、成功しているものがいっそう成功する傾向、優位性を失ったものはますます優位性を損なう傾向がある。同じ価値観や仕組みを共有する人が増えるほど、その内部で活動するメリットは高まり、さらに同じ方向へ人や資源が集まっていく。成功が次の成功を生む反面、別の仕組みを取り入れる必要性は弱まる。

経営戦略論では、歴史の中で形成された文化や価値観は、他者が簡単には再現できない「模倣困難な資産」とされる。大阪の人情味、結束力、独自のコミュニケーション文化は、まさにそのような財産だ。ただし、同じ特徴は、環境によっては強みにも課題にもなりうる。ここで問われているのは、大阪の魅力を否定することではなく、それがどのように形成されてきたかを踏まえたうえで、新たな役割にどう適応できるかという点だ。

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大阪のイメージ形成とコミュニケーション文化

大阪といえば、「誰もが芸人顔負けのノリを持つ、おもろいおばちゃんの街」という強いイメージを持たれてきた。だが、国際日本文化研究センターの井上章一教授が著書『大阪的――「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた』で指摘したように、こうした大阪像は、実は比較的新しい時代に形づくられたものだ。1980〜90年代、予算面で制約のあった在阪テレビ局が、街頭の素人を活用したバラエティー番組を数多く制作したことなどを通じて、「おもろいおばはん」に代表される庶民的で陽気な大阪人のイメージが全国に広がっていった。

もちろん、実際の大阪人のすべてがそのような性格であるわけではない。それでも、全国的に広まった大阪像は、大阪の魅力を伝えると同時に、大阪独自の人間関係や会話の感覚を、さらに強く意識させる役割も果たした。大阪では、相手との距離を早く縮める姿勢や、冗談を交えるやり取りが好まれ、多少きつく聞こえる言葉も親しさの表現として受け止められる。同じ感覚を共有できる者同士では、それが大きな安心感や居心地のよさにつながる。

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