大阪市を廃止し、東京23区のような特別区に再編する「大阪都構想」において、新たな区割りとして区数を4、8、24とする3案が浮上している。それぞれの案の特徴や課題について、自治体行政学の専門家2人が見解を示した。
24区案:地域密着型だが財政格差が課題
24区案は、現在の大阪市の行政区(24区)をそのまま特別区とする案だ。東京大学の金井利之教授(自治体行政学)は「区数が増えるほど区間の財政や住民サービスの不均衡は大きくなりやすい」と指摘。現在の行政区は市の内部組織であり予算編成権は市長にあるが、特別区になると各区が独立した自治体として独自に予算を組むため、税収格差が住民サービスの差につながる可能性がある。
一方で、24区案は行政区と同じ区域のため円滑な移行が可能で、他の案と比べて地域密着型の行政運営が期待できる。金井教授は「自治体が地元の状況を把握しやすく、きめ細かな住民サービスを提供できる」と利点を挙げた。
4区案:財政格差は小さいが、行政機能の低下懸念
最も区数が少ない4区案は、2020年の住民投票で採用され、僅差で否決された案だ。当時の法定協議会では、日本維新の会が「人口や財政のバランスが良い」として選んだ経緯がある。
金井教授と中央大学の佐々木信夫名誉教授(行政学)はともに、4区案が3案の中で「各区の財政格差が小さくなる」と評価。金井教授は、福祉や技術分野などの専門職の配置について、規模が大きい自治体ほど適切な配置や採用が進みやすく、質を安定的に確保しやすいと指摘する。また、人口減少が進んだ場合も自治体としての最低限の規模を保ちやすい利点があるという。
しかし、4区案には「行政が動かなくなる」という懸念も指摘されている。政令指定都市並みの規模となる各区で、行政サービスの効率性や住民との距離感が課題となる可能性がある。
8区案:中間的な規模でバランスを模索
8区案は、4区案と24区案の中間に位置し、1区あたりの人口は約35万人となる。この案は、財政格差の抑制と地域密着性のバランスを取るものとして提示されている。識者からは、具体的な制度設計次第で評価が分かれるとの見方がある。
今後の議論と課題
大阪府市の法定協議会では、これら3案をたたき台に議論が進められている。17日に開かれる3回目の法定協でも、区数についての議論が続く見通しだ。識者らは、現時点では制度設計が決まっておらず、今後条件が変わりうることを前提に、各案のメリット・デメリットを慎重に検討する必要性を強調している。



