大阪都構想の是非を問う3回目の住民投票を目指す大阪維新の会と、反対する他党との間で、「大阪市廃止」という表現をめぐる攻防が激化している。2020年の前回住民投票では、投票用紙に「大阪市を廃止」と明記されていたが、吉村洋文大阪府知事(維新代表)はこれを「反対派のパワーワード」と批判。一方、公明党市議は法的根拠に基づき、首長としての表現の適切性を問うている。
市議会で噴出した表現論争
2025年6月30日に開かれた大阪市議会の財政総務委員会で、公明党の市議が横山英幸市長(大阪維新の会代表代行)に対して「(都構想により)大阪市は廃止されるのか、されないのか。イエスかノーかでお答えください」と語気を強めて詰め寄った。この質問は、吉村知事が6月中旬に配信したインターネット動画での発言に端を発する。
吉村知事の発言が火種に
吉村知事は動画で「『大阪市なくす』ってパワーワードやん。大阪市はなくなりません」と述べ、都構想にネガティブなイメージを与える言葉として反対派が「大阪市廃止」という表現を利用していると批判。この発言に対し、公明市議は反発。都構想の根拠法である大都市法の条文には「関係市町村を廃止」と明記されているにもかかわらず、首長が「大阪市を廃止」と表現しないのは中立性を損なうと指摘し、横山市長の見解を求めた。
法的根拠と政治的立場の狭間で
横山市長は委員会で、都構想が実現した場合、大阪市は廃止され、特別区に再編されるという法的な枠組みを認めつつも、「大阪市という名称や行政サービスが完全になくなるわけではない」との立場を示した。しかし、公明市議は「条文に『廃止』とある以上、明確に認めるべきだ」と迫り、議論は平行線をたどった。
この表現論争は、2020年の住民投票でも大きな争点となった。当時の投票用紙には「大阪市を廃止することに賛成ですか、反対ですか」と記載され、賛成49.4%、反対50.6%と僅差で否決された。維新側は「廃止」という表現が有権者に誤解を与えたと主張し、今回の3回目投票に向けて表現の見直しを模索している。
今後の展望と影響
都構想の賛否を問う住民投票は、2026年秋にも実施される見通し。維新は「大阪市を廃止せず、特別区に分割する」という前向きなメッセージを打ち出したい一方、反対派は「廃止」という事実を強調して不安をあおる構図だ。表現一つで投票結果が左右される可能性もあり、今後の動向が注目される。



