厚生労働省が、会社員の夫に扶養される専業主婦らを対象とする国民年金の「第3号被保険者制度」について、対象者を縮小する検討を始めた。2030年の年金制度改正での実現を目指す方針だ。
制度の背景と現状
3号制度は、厚生年金に加入する会社員や公務員らに扶養される年収130万円未満の配偶者が、自ら保険料を負担しなくても年金を受け取れる仕組みだ。女性が加入者の98%を占めている。
制度の導入は1986年で、当時は会社員の夫と専業主婦の世帯が多く、専業主婦も年金を受け取れるようにする狙いがあった。その後、3号の加入者はピーク時の95年度の1220万人から半減し、2025年度末時点では604万人となった。女性の社会進出が進んだためだ。
不公平感と働き控え
3号制度の財源は、厚生年金の加入者全体で賄っていて、共働き世帯や独身世帯も保険料を負担している。他方、自営業者などの配偶者は、専業主婦でも国民年金の保険料を納めている。こうした点を踏まえ、「サラリーマン世帯の専業主婦を優遇している」との批判は根強い。
3号に加入する配偶者でパートで働く人などには、年収130万円を超えると保険料を支払う必要が生じるため、就業時間を抑える「働き控え」が少なくない。人手不足が深刻化する中、女性の就業を促すためにも、3号制度の撤廃を求める主張もある。
見直しの論点と今後の進め方
一方、介護に追われるなど、家庭の事情で働きたくても働けない人がいる。子育てに全力で取り組もうとして、あえて退職した主婦もいる。こうした人たちの意見も忘れてはならない。
3号制度の見直しでは、一定年収で線引きする案や、保険料の負担を求めたり、年金支給額を減額したりする案が浮上している。厚労省は3号の加入者ら2万人を対象に調査を実施し、就業状況や加入理由などを尋ねる。導入から40年が経過し、見直しは理解できるが、まずは実態を把握した上で慎重に検討すべきだ。
3号制度の縮小は、自民党と日本維新の会が7月に合意した。維新は共働き世帯や単身者と比べて不公平だとして「廃止」を主張しているが、連立維持の条件などを理由に自らの主張を押しつけようとするべきではない。