被爆2世・秀道広氏「核廃絶は困難な道」理想と現実の安全保障に警鐘
被爆2世・秀道広氏「核廃絶は困難な道」理想と現実の安全保障に警鐘

被爆2世で安全保障問題に詳しい広島市立病院機構の秀道広理事長(69)が産経新聞のインタビューに応じ、核兵器廃絶について「目的と手段を取り違えてはいけない」と警鐘を鳴らした。核兵器廃絶を理想としつつも、厳しさを増す東アジア情勢を踏まえた現実的な安全保障観が不可欠と訴えている。

「理想の旗は降ろしたくないが、核兵器廃絶は極めて困難な道」

広島、長崎の惨禍を二度と起こしてはならないことは「誰もが共有する想い」と秀氏は語る。原爆投下の凄惨な体験と歴史を持つ市民が「核なき世界」を望むのはもっともだという。一方、熾烈を極める世界情勢下で、獲得した核兵器を自ら手放す国はない。

秀氏は「いかに現実的に核兵器が使われないようにするか、核戦力を無力化するかという努力は必要だが、核抑止を『破綻』『フィクション』と断じ、核兵器への現実的対応をも放棄させるがごとき発言は無責任だ」と述べた。「理想の旗は降ろしたくないが、核兵器廃絶は極めて困難な道。一度得た技術を人類は放棄できない」とも考える。

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非核三原則の見直しにも言及

広島は必ずしも「反核一辺倒」ではないが、「被爆の悲惨さや反核以外の言論は事実上封じられてきた」過去がある。今回、「私たちの平和宣言」は非核三原則の見直しにも触れた。昭和46年に衆議院で決議され、政府の基本的方針とされてきたが、「当時と今では安全保障環境が違う」(秀氏)とみる。

核武装する中国やロシア、北朝鮮の差し迫る脅威を前に「惨禍を絶対に繰り返させてはいけない。広島にはデリケートな問題ではあるが、世界情勢を踏まえた見直しが求められるのは当然だろう」と話す。強権主義の国々が台頭する一方で米国の力は相対的に低下した。そのため同盟国による核戦力「拡大抑止」の実効性を高めることについては「タブー視せず議論すべきだ」と述べた。

「祈りつつ、過ちを繰り返させない方策を考えるべきだ」

今年の広島平和記念式典で、高市早苗首相は非核三原則を「堅持している」と述べつつ、将来については明言しなかった。秀氏は「将来は分からないというメッセージだけでも対外的な抑止力になる」と評価する。

「私たちの平和宣言」は「過ちを繰り返させないために」という一文で締めくくられる。秀氏は「祈りつつ、かつ過ちを繰り返させない方策を考えるべきだ。究極の目的は自由で独立の保たれた平和な世界。核兵器廃絶はその手段に過ぎず、目的化しては本末転倒だ」と語った。

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