司令官の迎えとドネツクへの猛スピード移動
「あなたがダイサク・カネコか?」——ウクライナ東部ドネツク州の国境まで一人で迎えに来た司令官はそう尋ね、駐車していた黒いメルセデスAMGに乗るよう促した。軍用車ではなく、ベンツのスーパーカーに乗り込んだ金子氏は、司令官に「タバコは吸う?自由に吸っていいから楽にしなよ」と言われたという。
車はドネツク州の街中を時速150kmで爆走。タバコの灰が車内に舞う中、舗装の剥がれた悪路でも速度は落ちなかった。約2時間後、目的地のマキイフカ基地に到着した。軍隊の車両は緊急車両扱いで、速度違反で捕まることはないという。
ピャトナシュカ旅団と軍隊の組織
SVO(特別軍事作戦)の主力であるロシア国防省陸軍には約30万人の兵士が所属し、複数の師団、大隊、中隊で構成される。中隊には突撃部隊(100〜300人)、砲撃部隊(約50人)、ドローン部隊(約50人)、狙撃部隊(ごく少数)などがある。金子氏が最初に所属したピャトナシュカ旅団も、師団よりやや規模が小さいが同様の構成だ。
予告なく始まった入軍テスト
到着初日から、金子氏には予告なく雑用が課された。ドローン警戒を徹夜で3日間続け、寝る間もなかったという。「これが実力を測る『入軍テスト』だと分かったのは4日目だった」と金子氏は振り返る。4日目、突然銃を渡され、抜き打ちの射撃訓練が行われたのだ。
数百人に1人の狙撃手に選ばれる
この射撃訓練で、金子氏は数百人に1人と言われる狙撃手に選抜された。その後、ロシア軍特殊部隊「アフマット」に所属することになる。この体験は、著書『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)で詳述されている。



