フランスやドイツでは、近年の夏がかつてないほどの暑さとなっているにもかかわらず、エアコンの普及が進まない。エアコン普及率はわずか3%で、教室内の気温が40℃に達することもあり、猛暑による死者は年間5000人を超えるとされる。この背景には、古い建物を大切にし、景観を重視するヨーロッパの伝統が関係している。
フランスやドイツでは、エアコンの設置が建物の外観や景観を損なう可能性があるため、自治体の許可が必要となる。特に古い建物では技術的に設置が難しい場合があり、共同住宅では大家や管理組合の承諾を得る必要があるため、ハードルが高い。
ミュンヘンの実家での体験
2026年7月、筆者は南ドイツ・ミュンヘンの実家に10日間滞在した。実家は集合住宅の5階で、静かな場所だが、朝早くに目覚めると外の音がいつもより聞こえてきた。調べてみると、マンションの共有部分の窓がすべて全開になっていた。各部屋にも共有部分にもエアコンはないため、管理人が早朝に窓を全開にして熱がこもらないように配慮していたのだ。
管理人の気遣いに感謝しつつも、日本での生活が長い筆者は「暑い時に窓を開けるのは原始的」と感じた。
このように、伝統を愛し現実から目を背ける姿勢が、エアコン普及の妨げとなっている。



