東京湾の生態系が激変、クロダイ急増の背景に温暖化と貧酸素水塊
東京湾の生態系激変、クロダイ急増の背景

2024年2月、筆者が釣り上げた40cm弱のクロダイ。岸壁や堤防の際を探る「ヘチ釣り」が人気で、SNSでは大物釣果が続々と投稿されている。2026年1月には仲間もクロダイを釣り上げた。一体、東京湾で何が起きているのか。

温暖化と貧酸素水塊が生態系を変える

神奈川県水産技術センター元主任研究員の工藤孝浩氏は、「現在、東京湾の生態系そのものが、温暖化を背景にシフトチェンジの真っただ中にあり、急速に様相を変えている」と指摘する。クロダイが目立つ背景には、温暖化による海水温上昇と貧酸素水塊の発生がある。

海底ではプランクトンなどの死骸を分解する際、海中の酸素が消費される。酸素は水温が低いほど溶け込みやすく、閉鎖性海域の東京湾では夏場に水温が上昇すると表層と底層の水が混じりにくくなり、底層の酸素濃度が低下。貧酸素水塊が発生する。

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海底生態系への壊滅的影響

貧酸素水塊は海底付近の生態系に深刻な影響を及ぼす。海底に生息する貝やゴカイなどの底生生物が減少し、それらを餌とするカレイやアナゴなどにとっては死活問題だ。工藤氏は「海底での貧酸素化は、こうした魚たちとその餌生物をダイレクトに死滅させてしまう」と語る。

貧酸素水塊が湧き上がると「青潮」が発生し、表層の魚介類の大量死を招くこともある。温暖化は表層と底層の海水が混じらない期間を長引かせ、貧酸素水塊の発生期間を長期化させる。

クロダイが優位に立つ理由

クロダイは高酸素耐性を持ち、貧酸素環境でも生存できる。一方、マダイや他の魚種は酸素不足に弱い。工藤氏によれば、「クロダイにはライバルがいない」状態で、餌や生息域を巡る競争で優位に立っている。天然マダイとの違いは、味はクロダイも美味だが、マダイほどの高級感はないとされる。

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