停戦合意の署名とその内容
アメリカとイランの間で起きている戦闘の停止に向けた大きな動きがあった。日本経済新聞電子版(6月16日)によると、米政府高官は15日、米国とイランの双方が戦闘終結に向けた覚書に署名したと記者団に明らかにした。トランプ米大統領とバンス米副大統領、イランのガリバフ国会議長が署名したという。調印式は19日にスイスで正式に開かれ、米国側からはバンス氏が出席する。米政府高官は覚書の詳細は24〜48時間以内に公表する見通しだと説明。ホルムズ海峡の開放と米軍による対イラン海上封鎖の解除が含まれるとしている。
イランの勝利宣言と神がかり的な総括
一方、イラン政府や軍は、あたかもイラン優位で停戦が実現したかのような発表をしている。Pars Today日本語版(6月16日)によると、イラン・イスラム共和国軍総司令官のアミール・ハータミー少将は、殉教した故モハンマド・バーゲリー合同参謀本部議長の殉教記念日に際して行われた同議長の遺族らとの会合で、「昨年6月の12日間戦争および、先だってのラマザーン戦争において、我々は世界最強の勢力と、それに伴う冷酷で犯罪的な勢力に立ち向かった。敵は、イランの聖なる体制、1979年のイスラム革命、そして我々の愛する祖国に深刻な損害を与えられると思い込み、いわば仕事を完遂すべく乗り込んで来たものの、自らの計算と認識が間違っていたことが判明した」と述べている。また「イランの軍と国民は、殉教した先代イスラム革命最高指導者とバーゲリー議長を含む指揮官らを初めとした、我々の敬愛する殉教者らの努力に感謝している」とし、「敵はイランに対する邪悪な目的を達成できなかったし、今後も達成は不可能だろう」とコメントした。このように、殉教者(シャヒード)が協力した、すなわち死者と連帯して戦ったことがイランの勝因であるという神がかり的な総括をしている。
核開発問題の隔たりと今後の展望
しかし、イランの核開発問題については、双方の見解が収斂していない。トランプ氏はイランの核開発能力を根絶することが使命だと確信している。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)は、両国とも合意を守るつもりはなく、戦いはまだ続くと分析する。停戦合意はなされたが、アメリカとイランの対立の根本原因である核問題は解決しておらず、今後の見通しは不透明である。



