米国の核の傘を含む拡大抑止戦略が揺らいでいると、米ダートマス大学のジェニファー・リンド准教授が指摘している。リンド氏は6月、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に発表した共著論文で、この戦略が過去ほど信頼されていない兆候があると述べた。冷戦後の国際関係の変化とトランプ政権の政策が影響を与えているという。
拡大抑止戦略の歴史的評価
リンド氏は、核兵器は冷戦時代、戦争の拡大を防ぎ、戦争そのものを抑止するうえで非常に重要な役割を果たしていたと評価する。米国は同盟国を含む他国が核兵器を持つことが世界をより不安定にすると考え、懸念していた。
そこで米国は、他国に核兵器を持たせず、核拡散を防ぐと同時に、安全保障で安心させる方法を模索した。拡大抑止戦略こそが解決策であり、長い間効果があり、成功したとリンド氏は言う。
信頼の低下と変化する状況
問題は、この状況が変わるのかどうかだ。リンド氏は共著者とともに欧州やアジアの多くの同盟国での議論を聞いた結果、米国による拡大抑止の約束が過去ほど信頼されていない兆候が見えていると明かした。
戦略が非常に成功してきた一方で、状況が変化し、戦略の維持を難しくする圧力がかかっていると理解することが重要だと指摘する。



