イスラエル軍は11月5日、ガザ地区北部に民間人を避難させるための「安全な回廊」を設置すると発表した。これは、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化する中で、住民に南部への退避を促す措置の一環。軍の広報担当者は声明で、「午前10時から午後2時までの間、ガザ地区北部から南部への移動を可能にする」と述べた。
避難経路の詳細と軍の意図
安全な回廊は、ガザ市の中心部を通るサラフ・アッディーン通りに設定される。イスラエル軍は、このルートを利用する民間人に対して攻撃を行わないと約束した。担当者は「我々は民間人の安全を最優先している。ハマスは民間人を盾にしているが、我々は彼らを戦闘地域から遠ざけたい」と説明した。
しかし、ガザ地区の医療当局や国連は、避難が安全に実施されるか懸念を示す。ガザ地区保健省は「多くの負傷者が移動できず、病院は機能不全に陥っている」と訴える。また、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は「ガザ地区の状況は壊滅的で、即時停戦が必要だ」と強調した。
戦闘の現状と犠牲者数
イスラエル軍は10月27日以来、ガザ地区への地上作戦を拡大。空爆と併せて、ハマスの拠点やトンネル網の破壊を進めている。ガザ保健省によると、これまでのパレスチナ側の死者は1万人以上に達し、その約40%が子どもだという。イスラエル側では、10月7日のハマス奇襲攻撃で約1400人が死亡、240人以上が人質となっている。
イスラエルのネタニヤフ首相は「人質全員の解放まで戦闘を続ける」と宣言。一方、ハマスは「イスラエルの攻撃が続く限り、人質交渉には応じない」としている。
国際社会の反応と人道危機
国連や各国政府は、民間人の保護と人道支援の緊急性を訴える。国連事務総長は「ガザは子供たちの墓地になりつつある」と強い危機感を示した。また、米国や欧州連合(EU)は「一時的な戦闘休止」を提案しているが、イスラエルは拒否している。
ガザ地区では、水、食料、燃料の不足が深刻化。国連は「ガザの人口の約半数が避難を余儀なくされ、140万人以上が危険にさらされている」と報告。WHOは「ガザの病院は崩壊の瀬戸際にあり、負傷者の治療が不可能になりつつある」と警告した。



