サウジアラビア、2034年W杯開催権獲得の舞台裏:FIFA会長との特別な関係
サウジ、2034年W杯獲得の舞台裏:FIFA会長との関係

サウジアラビアが2034年のFIFAワールドカップ開催権を事実上独占した背景には、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長との「特別な関係」が存在する。オイルマネーを背景にした戦略的な接近工作が、国際的なルール変更を促し、他国が追随できない形で開催権を手中に収めた真相を、スポーツライターの木崎伸也氏が詳細に解説する。

FIFA汚職スキャンダル後の新システムとサウジの課題

FIFAは過去の汚職スキャンダルを受け、ワールドカップ開催地を各国協会の投票で決定する方式に変更した。このシステムは、国際的に批判の多いサウジアラビアにとっては不利なものだった。しかし、サウジは他国が真似できない独自の道を選択する。

インファンティーノ会長への「急接近」

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)とインファンティーノ会長が初めて大規模に公の場に現れたのは2018年。サウジのジッダにインファンティーノ会長を招待し、FIFAとサウジアラビア総合スポーツ庁(現スポーツ省)の協力強化を話し合う会談を開催した。デンマークのスポーツ倫理研究所「Play the Game」は、これを「戦略的投資と裏工作の始まり」と指摘している。

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同年6月、ロシアワールドカップ開幕戦では、MBS皇太子とインファンティーノ会長がロシアのウラジミール・プーチン大統領と共にロシア対サウジアラビア戦を観戦。ニューヨーク・タイムズ紙のタリク・パンジャ記者の記事「インサイドマン:FIFAはいかにしてサウジアラビアにW杯をもたらしたか」によると、この頃からインファンティーノ会長はサウジアラビアの「協力者」のような行動を取り始めたという。

2030年W杯の共催構想とイタリアへの打診

2020年秋、インファンティーノ会長はローマでイタリアのジュゼッペ・コンテ首相と会談。同席したイタリアサッカー連盟会長も含め、インファンティーノ会長は「2030年W杯を3大陸で共催するプランがある。サウジアラビアとエジプトがすでに手を挙げている。ヨーロッパのパートナーを探しており、イタリアはその候補になりうる」と伝えた。イタリアが断ったため、2021年9月の国連会合でギリシャに打診し、エジプト・ギリシャ・サウジ共催構想が浮上した。

「特別な関係」の深化

両者の接近は加速し、2021年にはインファンティーノ会長がサウジアラビアのスポーツ省のプロモーションビデオに出演。2022年にはMBS皇太子と共にジッダで開催されたボクシングの試合を観戦するなど、FIFA会長とサウジの距離は明らかに「特別な関係」へと変わっていった。この関係が、2034年W杯開催権の独占的な獲得につながったと見られている。

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