「仕事は消えない。消えるのは作業だ」「AIが進化すれば、人間の仕事は奪われる」――。メディアで繰り返されるこのフレーズに不安を感じる人は少なくない。特に弁護士や司法書士といった高い専門知識を武器にする「士業」の世界は、真っ先にAIに飲み込まれると言われる。しかし、株式会社スタイル・エッジ代表取締役の島田雄左氏は異なる見解を示す。結論から言えば、消えるのは「仕事(職種)」ではなく、その中にある「作業」であり、真の脅威はAIそのものではなく「AIを使いこなす同業者」だという。
AIは優秀なアシスタントとして機能
すでに海外の先進的な法律事務所では、AIを日常業務に深く組み込んでいる。島田氏によれば、AIは人間の仕事を奪う敵ではなく、優秀な「部下」や「アシスタント」のような位置づけだ。情報整理、記録、文書ドラフト、ナレッジ共有、業務効率化といった「机の上の事務作業」はAIが圧倒的なスピードで処理する。
ここで、AIに「消される仕事」と「残る仕事」の境界線が明確になる。法律の条文暗記、過去の判例調査、定型書類の作成といった作業はAIの得意分野であり、もし仕事がこうした作業の切り売りだけで成り立っているなら、その領域は近い将来確実に消え去るだろう。
人間にしかできない「残る仕事」の本質
しかし、人間の役割はそこにはない。AIが驚異的なスピードで集めた情報や作成した書類をもとに、「最後の判断をし、責任を持って決断を下すこと」こそが、人間にしかできない「残る仕事」の本質だ。島田氏は「AIは専門職としての判断を代替しない」と強調する。
これは士業に限らず、あらゆるビジネスパーソンに共通する生存戦略だ。AIを使いこなす先進的なプレーヤーは、作業効率を何倍、何十倍にも高めている。AIに怯えて敵対するのか、それとも最強の相棒として迎え入れるのか。今、私たちはその選択を迫られている。
「まだ大丈夫」と思っている人ほど危ない
島田氏は「まだ大丈夫だと思っている人ほど、実は一番危ない」と警告する。高い生産性を上げるライバルに遅れをとらないために、個人情報や機密情報の取り扱いに明確な制限を設けた上で、今すぐAIを隣の席に座らせ、自分にしかできない「決断」の価値を磨き始めるべきだと提言する。
島田雄左氏は1988年福岡県生まれ。24歳で司法書士事務所を開業し、国内トップ規模の士業グループに成長させた。その後、経営経験を生かして株式会社スタイル・エッジ代表取締役に就任し、士業や医業のコンサルティングを行っている。YouTubeやXで法律、仕事、マネーリテラシーなどの情報を発信。著書に『士業経営』『人生で損しないお金の授業』がある。



