トランプ米政権が、オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)が米国や同盟国の主権に脅威を及ぼしているとして、対抗措置をとっている。ルビオ米国務長官は米有力紙への7月の寄稿で「もし必要であれば、あらゆる手段を用いてICCを解体する」と表明した。
ICCへの不満と制裁
トランプ政権は、ICCがアフガニスタンで米兵の「戦争犯罪」捜査を認めたり、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡ってイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したりしたことを批判してきた。これまでもICCの裁判官らに制裁を科してきたが、ICCの行動に不満があるなら話し合いで解決してもらいたい。今回のように解体まで言及するのは行き過ぎだ。
加盟国の動向とICCの役割
7月末までにベネズエラとチャドがICCからの脱退を表明した。米国の働きかけに応じたとみられる。125の国・地域が加盟するICCは戦争犯罪や人道に対する罪を犯した個人を国際法に基づき処罰する。「『法の支配』に基づく国際秩序」の一翼を担う存在とされる。自国の兵士が訴追されることを懸念する米国をはじめ、ロシアや中国、イスラエルなどは未加盟だ。
プーチン氏への影響と日本の対応
ICCは3年前、ウクライナ侵略をめぐる戦争犯罪の容疑でプーチン露大統領の逮捕状を出した。ICCの管轄権行使は原則として加盟国内に限られるため、身柄拘束できていないが、プーチン氏の権威を下落させたり、同氏の外国訪問を一定程度阻んだりする効果があった。米政府が今後、ICCに本格的な制裁を科せば、情報通信システムを担う米企業がサービス提供を控えるなどして、ICCが活動の停滞や停止に追い込まれる恐れもあるという。だが、ICCが弱体化して最も喜ぶのはプーチン氏だ。戦争犯罪の責任追及がさらに困難になるからだ。
欧州連合(EU)はICCへの支持を表明した。ICCの現所長は日本の検察官出身の赤根智子氏が務めている。日本はICC最大の分担金拠出国で、木原稔官房長官は記者会見で「日本は一貫してICCを支持している」と述べた。日本は他の加盟国と協力してICCを擁護したい。米国に働きかけ、ICCとの関係改善を促すべきだ。



