9月6日に投開票が行われるドイツ東部ザクセン・アンハルト州議会選挙で、強硬右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持率42%と優勢だ。過半数を獲得すれば、戦後ドイツで初めてAfDによる州政府が発足し、州レベルで過激な政策が実施される可能性がある。
AfDの公約に激しい議論
ドイツで支持率を拡大するAfDは、独東部では「旧東独に誇りを取り戻す」とアピールしている。東西ドイツ統一後に浮き彫りとなった経済格差などから、旧東独側の市民が抱える不満や劣等感の高まりが背景にある。
だが、AfDが州議会選で掲げる公約は独国内で激しい議論を巻き起こしている。障害の有無にかかわらず共に学ぶ仕組みの廃止は、「優生思想」に基づいて障害者を「無価値」だとし、社会から隔絶したナチスの記憶を呼び起こす。
標的は教育だけではない。「愛国的な文化政策」を強調し、「非ドイツ的」とする文化への公的資金の拠出停止を公約に掲げる。
バウハウス支援削減の懸念
同州南部デッサウに拠点を置く造形学校「バウハウス」もその一つだ。関連する建築が世界遺産に登録されるなど、ドイツ発の近代デザインを象徴する学校で、州政府から支援を受けている。だが、AfDは、バウハウスなどに対する支援削減を主張する。ナチスが自由で国際的なバウハウスを「退廃芸術」と敵視し、閉鎖に追い込んだ歴史に重なると批判されている。
バウハウス・デッサウ財団のバーバラ・シュタイナー理事長は「何がドイツ的か、誰がドイツに属すか属さないかなどと選別すること自体が非常に危険な思想だ」と指摘する。
シュタイナー氏によると、2030年までの資金調達にはメドがついているが、AfDが州議会選で勝利すれば財政難に陥る恐れがある。独政府は20日、「バウハウスはあらゆる反民主主義的な攻撃から守られるべきだ」とする異例の宣言を出した。
連立交渉の難航も予想
それでも、州議会選でAfDの勢いは止まらない。公共放送ARDの世論調査によると、AfDの支持率は42%に上り、国政与党の中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)の22%を大きく引き離す。州議会で過半数を獲得すれば、当局に「極右過激派」と認定されたAfD州支部から州首相が誕生する。
CDUなど主要政党は、AfDとの連立を拒否している。AfDの議席が過半数に達しなければ、CDUを中心とする連立政権を模索することになるが、交渉は難航が予想される。
政治学者のマルセル・レバンドフスキー氏は「AfDの州政権が誕生すれば国政への影響は避けられない。独政府は強い圧力にさらされ、メルツ政権の弱体化が加速する」と指摘する。



