中国の偽情報工作、日本攻撃が自国漁業を直撃する巨大ブーメランに
中国の偽情報工作、自国漁業を直撃する巨大ブーメランに

中国が日本を標的に流した偽情報が、逆に自国の漁業を壊滅させる「巨大ブーメラン」と化している。国際基督教大学(ICU)教授のスティーブン・R・ナギ氏(政治学・国際関係学)は、日本が主な攻撃対象になっているが、その作戦が失敗し、自国民が苦しむ事態になっていると指摘する。

中国が世界にバラまくフェイクニュースの中身

ネット社会では情報が瞬時に拡散する。ある国が隣国を攻撃するために偽情報を流せば、隣国に大きな被害をもたらすが、その武器が自分に返ってきて自国に大ダメージを与える「巨大ブーメラン」になる可能性もある。

日本の福島第一原発の処理水放出をめぐり、中国は多くのフェイクニュースを仕掛けた。SNS「微博(ウェイボ)」や「抖音(ドウイン)」などで、「日本が核汚染水を放出している。わが国の生態系や生命に影響はないのか」といった趣旨の説明とともに、海に黒い汚染水が流れ込む動画を拡散した。

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元の投稿は短期間に再生されたが、フランスの報道機関AFPのチェックで偽情報と判定された。実際の映像は福島ではなく、2020年にメキシコのアカプルコ湾で発生した下水道の破裂・流出事故を撮影した報道の流用だった。

恐怖をあおる作戦の始まり

また、漁船の網にかかった超巨大タコや、人間より大きなエビやロブスターとされる画像・動画を「日本の核廃水を含む海域で発見された変異生物」といったキャプション付きで拡散した。これも台湾の民間非営利団体や産経新聞の報道により偽情報と結論づけられ、生成AIによる合成や既存画像のつなぎ合わせと確認された。

福島第一原発のALPS処理水の海洋放出が始まったのは2023年8月。国際社会の厳しい監視のもとで行われ、水はWHO(世界保健機関)の飲料水基準より安全なレベルまで浄化・希釈され、国際原子力機関(IAEA)も「国際的な安全基準に完全に合致している」と認めた。

しかし中国政府はこれを政治的に利用し、安全な処理水を「核汚染水」と呼び、国営メディアで科学的根拠のない恐怖を国民に植え付けた。そして日本産水産物の全面輸入禁止を発表した。当時、中国は日本のホタテなどの最大の輸出先で、中国は「日本に経済的打撃を与えれば屈服する」と計算した。

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